AIR感想

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AIRゲームクリアしたので感想。ゲーム内ネタバレ含みます。ネタバレ気にされる方、まだ未プレイストーリー知らない方はブラウザバック推奨します。

 

AIRクリア感想は、全体的にクリアして感じたこと、また各√ごとに記載します。

 

まず全体的にクリアして感じたことは、AIRという作品自体が、あったかもしれないもう一つの可能性の、翼人という神様に近い存在が、現代にはない一つの伝承として、残された話ではないかなと感じました。

大雑把に話すと、まずAIRという作品における翼人という存在が、平安時代、信仰を一つにしたいという考えから滅ぼされます。

 

そこから、翼人は神奈が子供を産めなかったこともあり、存在は滅びますが、翼人の記憶(夢を継ぐ性質)と呪いは継承され続けます。

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そして記憶と呪いが継承されますが、往人さんの願いと、晴子さんの母親としての思いが、観鈴を幸せに導き、翼人の記憶を幸せで終えることにより、観鈴はゴールすること(夢の終わりを迎えること)で、翼人の呪いを終えることができ、悲しい物語は終わりました。

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最後に、謎の少年と少女が出て、少女に対して、「君がずっと確かめたかったこと」「この海岸線の先に、なにがあるのか」と聞き(その出来事は、カラスであるそらを使うことで、物語を追っていったのではないかと思います、理由は後ほど記載します)、「彼らには、過酷な日々を。」「そして僕らには始まりを。」と観鈴や往人さんを見ながら思います。

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そして、「じゃ、行こうか。」「この先に待つもの…」「無限の終わりを目指して」「さようなら」と言いながら、AIRのストーリーは終わります。この部分には、翼人の伝承から解放され、魂だけ継承された観鈴と往人さんの生まれ変わりの、人間としての生き様がここから始まるのだと思いました。そのため、始まりという言葉、無限の終わりという、人の人生の繰り返しを示す言葉、さようならという翼人に対しての別れなのかなと。(その理由に関しても、詳細は後ほど記載します。)

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そういった話の流れから、今はもうない翼人としての伝承と始まりから終えるまでの話が、「AIR」という作品なのだったのかなと思いました。だからこそ、鳥の詩というオープニングであり、詩という文学で表現したのかと。鳥の詩も、個人的にですが翼人が幸せになるための過程を詩にしている部分も多いのかなと感じました。(後ほど歌詞に感じたこと記載します)

 

また、AIRという作品に対しては、他にも「母親との愛情を様々に表現した作品」「空と海という対比、遠いけど海岸線を通じて繋がっている近くもある表現」「風や雲という表現の多さから夏を感じ、味わう作品」を楽しむことができ、心情表現が多く、アニメ版よりも何倍も分かりやすくなっていました。

 

それでは、タイトル画面から入り、各√の感想書いていきます。

タイトル画面。

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英語の意味は、「夏の情景に包まれて優しく過ぎていく日々 陽光の中で繰り返される少女たちとの出会い 夏はどこまでも続く 彼女は空で待っている」という意味で、往人さんが少女たちと過ごした日々、物語の核心に迫る内容でした。

また、クリア後、ストーリーをやり直す場合にはSTART"AIR"と名前が変化し、そこからの選択は、観鈴や佳乃、美凪と過ごした「DREAM」、神奈が出てくる翼人の話「SUMMER」、そしてそらを通じて観鈴との出会いから始まり、物語が完結する「AIR(そらという意味)」に分かれています。これらをまとめてSTART"AIR"に入っていました。

そして、AIR√ではなぜか、そらになった往人さんと、往人さん本人、二人が存在している時間が物語始まってから途中までありました。このことから、カラスのそら(AIR)からSTART(始まり)、DREAM(往人さんの、そらになるまでの夢)、SUMMER(往人さんが願いを込めた時に、人形と一体化し、人形には何千年もの夏を繰り返してきており、その人形に含まれる、柳也の子供から始まった人たちの思いによる、原初の夏)、AIR(そらとしての出来事、翼人の伝承の終わりを見届けたそら)という分類に分かれているのではないかなと思いました。そしてそら(AIR)を通じて読んだ物語として、話が完結しているのではないかなと。そういった理由もあり、冒頭はそらを進んでいる文章から始まってます。

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観鈴√感想

観鈴√は、AIR編含めて、母親が子に対しての愛情を伝える話だと思いました。

 

観鈴√では、最初に往人さんと出会い、夏やすみを誰かと過ごしたい、そんな願いから話が始まります。

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観鈴は過去に母親を亡くしており、父親には愛されるものの都会で生まれた観鈴にとって、友達が出来そうになったら癇癪をしてしまう病気の関係で、都会には住みづらい状態でした。それを見かねた父親は、観鈴を晴子さんに預け、田舎で生活してもらおうと考えます。

 

晴子さんは、観鈴のことが好きでしたが、いつか離れ離れになる辛いことへの怖さから、観鈴と距離感をあけ、心の距離を近づけないでいました。そんな時に、往人さんが来て、居候として、晴子さんの観鈴を思う気持ちもあり神尾家に住んでもらいます。

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そういったこともあり、観鈴はずっと一人で過ごしてきました。(本心では観鈴は晴子さんのことはこの時点で大好きでしたが)

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※(観鈴の、誰かが心を近づけてくると癇癪をしてしまう病気は、何回も繰り返してきた、翼人の魂の継承者たちが優しい心で、近づいてくる人を拒否し続けることから本能的に身についてしまったのではないかと思います。観鈴も別のわたしが泣きだしちゃうと(それは観鈴の中に存在する、翼人の記憶を継承してきたたましいが?)言ってることあったので。)

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しかし今年の夏やすみは、一人で過ごすことより、誰かと一緒に楽しみたい気持ちから、往人さんに声をかけ、何とか一緒にいてもらえました。最初は往人さんも観鈴には距離感を開けていましたが、一緒に過ごしている間に心の距離が近づきます。

・例えば何気ない会話のシーン。

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観鈴は夏やすみの毎日楽しい出来事を感じ、夏にこだわります。しかし往人さんはそれを否定し、過ぎることの大切さを伝えます。AIRという作品において、翼人の伝承が過ぎることの思い出として、また観鈴が生きた証としての思い出、そういった時間が経過することで自分が変わり、思い出が変わりと、翼人が持つ星の記憶における、人の変化による時代背景と近い考え方があり、深いシーンでした…

・夏やすみを過ごす、観鈴や往人さんを見て晴子さんが色々と感じるシーン。

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晴子さんにとって、観鈴も往人さんも子供だと感じそれを伝えます。この子供だと表現するシーンから、オープニングの「鳥の詩」の歌詞で、「遠くには幼かった日々を」の部分は、往人さんや、夏を過ごす少女たちを示したものではないかと思いました。そして往人さんも子供に関しては、観鈴に対して思うところがあったようです。また、一人きりの観鈴は、往人さんからすると、この空にいる(一人で悲しむ少女)に現在なっていると、比喩表現がありました。

観鈴がカラスにこだわるシーン。

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観鈴は、頑張ってカラスに触れようとします。観鈴√ではカラスに触れませんでしたが、AIR√ではカラスになったそらを触れるように。往人さんがカラスになったのは、こういった伏線があったのではないかと思います。また、28日に観鈴が絵日記でカラスに触りたいと書いており、往人さんが絵日記を叶えたことも理由だと思われます。

観鈴が恐竜好きな理由のシーン。

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終わりを迎えてしまったことに美しさを感じ、観鈴は恐竜が好きになりました。翼人も同様、呪いや記憶は継承されますが、神奈が最後の翼人として、終わりを迎えており、美しさにおいて共通点があります。

観鈴の誕生日のシーン。

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観鈴は誕生日晴子さんに距離を空けられており、また夏やすみの間に誕生日だったため、友達がいないことから、誰からも実際の誕生日の日に祝われませんでした。しかし今年は往人さんが居てくれたことにより、初めての楽しい誕生日だと感じます。誕生日という、自分の生まれた日を祝われる日。観鈴にとって、幸せなゴールに近づくための、大切な日でもありました。また、この祝われた日が、何年もあったのに今後含めて1日しかなく、辛いシーンでもありました…(´;ω;`)

 

日常生活で近づく心。そして観鈴の発作がおきるものの、往人さんは普段通り、観鈴と会話し、観鈴にとって初めての、心が近づく人が現れました。

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その後、観鈴はそこから夢を続いて見ていき、遡っていきます。

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最初の夢は、観鈴は空にいながら、風を受け、消えた場所から雲は生まれ、生まれた場所に消えてゆく、その繰り返しを見ていると言います。逆に流れてるという言葉が、過去に遡っているのを表現していました。

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毎晩続く夢。また、空のわたしは悲しい思いをしていると言います。空のわたしが悲しんでいるのは、神奈が味わった呪いが癒やされていないからだと思いました。そしてもし雲の存在が何千年もの、翼人の夢を追い、呪いを繰り返してきた継承者の話だとすると、鳥の詩の歌詞の「消える飛行機雲」は、翼人の夢を追う継承者を示しているのではないかと思います。

夢はどんどん過去に遡っていきます。

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夢の内容は、神奈が空に昇ろうとしたことや、柳也に海を見たことがないことから、聞いてみたことに似ていました。そして海に対しては、言葉を大切にしたいほど、楽しく特別な思いがあります。往人さんの母親の話でも出てきますが、心が近付いた誰かと海に行くことは、幸せなゴールへと続くための必要なことであり、AIRの作品内における重要な場所でした。

そして夢は最後の内容に近づきます。

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夢の中で、お祭りに行きたいことや、誰かが連れ出してくれるのをずっと待ってたことが分かります。AIR√で、海に晴子さんと行った後に、晴子さんとお祭り行ったことや、晴子さんが観鈴を連れ出してくれたこと、順番に願いが叶っていました。

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往人さんの母親は、観鈴の変化について先にどう変わっていくかを伝えていました。観鈴√では、母親が「そして…」と区切る前の、忘れていく前に往人さんが力を使ったのだと考えられます。

また、ゲーム内では観鈴に対して、往人さんの心情が分かり、雲や風という言葉を使い、思いを表現していました。

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・例えば、風に時間をつけて、夢の中で風を感じ、空にいる観鈴に対しての、時間の変化を表現してみたり。

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・風(時間)という出来事から、存在している観鈴に対して、仕打ちという、望んでもいないのに受けなければいけないことに対しての辛い文章だったり…(T_T)

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入道雲という言葉で空が見えないことを示し、入道雲があることで、空にいる夢を見ている観鈴に対して、届かない、観鈴だけが一人きりであることを示したり。

入道雲という言葉は、鳥の詩の歌詞で「振り返る 灼けた線路 覆う 入道雲 形を変えても」の部分にあります。歌詞に関しては、その前の1番のサビ前では「子供たちは 夏の線路 歩く 吹く風に 素足を晒して」となっており、自分は線路という言葉は、記憶(翼人の夢)を示しているのではないかと思いました。そして風が時間を示すのだとすると、1番は時間による記憶(翼人の夢)を追っていることを示し、2番は灼けた線路(記憶が分かっていくこと)覆う入道雲観鈴が一人きりになっていく、それは大切な人を忘れていくこと)を示しているのではないかと。

 

夢を見る途中で、観鈴は心が往人さんに近づき、当たり前の願いが叶えられないように。また、翼人の呪いが少しずつ起き始め、往人さんも観鈴もあるはずのない痛みを感じ始めます。

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観鈴は歩けなくなり、自分で自由に動けなくなりました。往人さんは観鈴を抱えてでも、海に行こうとしますが、観鈴の癇癪がおき、一緒に出掛けることが出来なくなってしまいます。晴れ渡った青空で笑ってる観鈴が、今では癇癪をおこし、往人さんは変化に対して不安になりました。往人さんは心の中でもうっすらと理解していることを、観鈴と一緒にいたい気持ちから、言葉を否定し、一緒にいることを願います。また、観鈴が存在できる場所は、世界の中でここだけだったと、空にいる少女のように、その場所から離れられない、そんな辛い表現がありました…。

しかし往人さんも病み始め、心の距離が近すぎて母親の言葉通りに現象が変化していることに戸惑います。母親から、救ってほしいとお願いされても、心が近づくと病んでしまうので、往人さんもどうしたらいいか分からない状態でした。f:id:MSN04_key_1224:20230924221044j:image

 

往人さんは距離を空けることが、観鈴に対してこれ以上病気が悪化しないための策であると考え、なくなく家を出ます。

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観鈴は最後に往人さんとの夏休みが楽しかったこと、往人さんも別れてから観鈴に対し色々と考えながら家を出ました。往人さんにとって、空にいる少女は、目的ではあったものの、仕方のない現実から必死に考え、割り切ろうとします。観鈴の夏休みが楽しかったという台詞が、往人さんと出会って、約12日間しか経ってなく、とても短い間だったことが辛かったです…。

 

往人さんはそのままバス停で眠り、夢を見ます。

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夢の内容は、往人さんの過去の内容でした。往人さんは方術を継承してきた家系の人ではなく、自分の笑わせたいという願いから、法術が使えるようになります。そして法術が使えるのが分かると、衰えてしまう前に母親は人形に「力」を封じ込めると言い、往人さんに母親として、家系の人でもなかったことから自分の意志で道を選んで欲しいと伝え、助けてあげたいと思ったら、人形に心を込めなさいと伝え、消えました。それを往人さんは思い出し、自分の力で少女を笑わせたい、笑ってくれる誰かがそばにいればよかったこと、誰かを幸せにしたかったことが目的だったのに気付きます。

このシーンですが、過去の内容から、方術が使える人は女性しか生まれておらず、それは翼人の呪いの影響によるものではないかと考えました。

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裏葉は、方術で呪いが受け流しできると言ってますが、同時にわたくしだけが生き残らねばならないとも言ってます。そのため、翼人の心に近付いた人間が呪いを受けるのであれば、裏葉も受けていてもおかしくないですし、女性として生まれ、翼人の魂の継承者に会い、生き残るという呪いがあってもおかしくはないのかなと。(ただ言いがかりが強いかなと思いますので、女性しか生まれていない、この部分に関しては不明です)

それと、往人さんは男性であること、法術を自らの願いにより使えるようになったこと、家系の人間でもなかったことが分かりました。男性であることの意味は、翼人の神奈が見ている呪いで、「柳也が亡くなった出来事」を見ているため、呪いの一部ではありますが、色濃く出ているから、だから男性であることの方が良いのではないかなと。

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また、法術に関しては、願う力が家系で引き継がれたのではなく、自らの思いであるからこそ、願いを解き放てたのかなと思ってます。

 

往人さんは観鈴を笑わせたいことを思い出し、近くの子供に相談後、観鈴に会いに行きます。しかし観鈴はこの時点で限界が近付いており、観鈴は最後に少しだけ目を開けて、往人さんの芸を見ているときに眠ってしまいました。

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往人さんの願いは誰かを笑わせたい、幸せにしたいことであり、そこに病んでしまうことや、心が近付きすぎると二人とも亡くなることは関係なく、どんなに辛く終わりが近くても、観鈴が笑っていること、この願いこそが往人さんの幸せでした。観鈴を思う、往人さんのこの行動シーンは、号泣でした…(´;ω;`)

 

往人さんの観鈴には笑っていて欲しいという願いから、何千年もの願いが篭ってきた人形が反応し、往人さんは消え、観鈴は少し元気になります。

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その時、往人さんの願いもあり、観鈴が絵日記に書いたことを俺が叶えてやること(この部分が、AIR√最後にも影響してくるのだと思います)、その願いを叶えるために、観鈴に心が近付いたら死んでしまう呪い、観鈴の呪いを少し和らげ、翼人の記憶をもう少し持てる器になること、心の距離が近づくと癇癪をしてしまう病気が改善したのではないかと思います。願いにより伴う、様々な呪いが緩和されているのかなと。

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観鈴√はここで終わりとなり、続きはAIR√へと繋がります。観鈴√で選んだ選択肢が、AIR√でも反映されているのが面白かったです。また、冒頭に書いた通り、往人さんは観鈴√ラストで、カラスのそらに記憶が飛び、そらの観鈴に対する(往人さんであった頃の)夢の話は終わりました。もしかすると往人さんがAIR√に出てくるのは、観鈴√ラストで「もう一度だけやり直せるのなら。」という往人さんの思いが、願いになってやり直したという考えもあるのかもしれません…

 

 

佳乃√感想

佳乃√は、母親に対して、「産んでくれてありがとう」を伝える内容となっており、子が母親に愛情を伝える話となっていました。

佳乃√では、バンダナを手首に付けており、そのバンダナに関して話があります。

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手首に付けられたバンダナ。佳乃は無意識に外そうとはせず、また外すのは怖くもありました。魔法が使えなければ、今までの我慢の努力が無に帰すからだと思います。しかし往人さんと会い、目の前で魔法(法術)を見せられたことで心の変化があり、魔法という出来事に対して、考えるようになりました。

 

その後、佳乃は魔法が使えたらしたいことについて話します。

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佳乃は母親と父親を亡くし、姉の聖とだけは離れたくないと考えます。聖は佳乃の母親代わりとして、佳乃をずっと守ってきました。そのことに対して、聖をお姉ちゃんではなく、母親にしてしまったことに後悔します。だからこそ、魔法でもし母親に会えるなら、姉のこともあり、謝りたいと言います。しかし往人さんは否定し、母親としての意見なら、佳乃の発言には激怒すると言い、佳乃は少し心境の変化がありました。

 

話は進み、佳乃がバンダナを付ける原因となった出来事について。

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佳乃は幼い頃に亡くなった母親に会いたいと思い、空に行くために風船を購入するも、風船を失います。その後、神社の羽根に触れ、母親のところには行けないことを理解します。そして、そこから佳乃は変わってしまい、メスで自分の手首を切り、それを防ぐために、聖はバンダナを付けました。そして体の一部のように、聖はずっと言い聞かせ、佳乃は無意識に外してはいけないと思うようになります。

 

バンダナが付いた理由の、佳乃の中にいる「彼女」の話について。

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佳乃の中にいる「彼女」は存在が不明で、聖は佳乃を治すために医者になりました。「彼女」が聖ではなく、佳乃の中にいるのは、佳乃が母親の死を最初割り切れず、羽根を持っていた昔の生まれ子も母親の死を理解出来なかった共通点や、佳乃も昔の生まれ子も、母親に対して会いたい気持ちがあったからではないかと思います。

そして「彼女」が頻繁に現れるようになったのは、佳乃が往人さんと出会い、今まで以上に魔法やバンダナについて考えるようになったからだと思いました。

 

その後、佳乃の姉の聖に対する気持ちと、往人さんへの行動による変化について。

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佳乃は聖に、聖が母親のように振る舞うのに対し、姉として、一人の人として、自分を見守ってくれる母親だと、どこにも行けないことを思い、泊まってきていい、帰らなくていいと自分自身の選択で、姉として解放しようと行動します。そして往人さんにバンダナを外してもらい、佳乃は、佳乃自身を出しました。佳乃の、魔法による空を飛び母親に会うことや、長年のバンダナという封印を解き、往人さんは佳乃自身を人として幸せにしようとします。

 

しかし、佳乃はバンダナを外したことで、空に行くことを決意します。

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佳乃は、聖のことを姉として解放したいと思い、往人さんの願いを叶えたいと思い、自分が行った、誰かを傷付けてしまうことに気付き、空に行くことで解決しようとします。佳乃は、姉の聖に甘える存在ではなく、姉の聖のことを思いやれる、優しい子でした…。

 

空に行こうとした佳乃を往人さんはその後、神社で見つけます。

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佳乃はバンダナを外し、魂が空に飛びました。往人さんは、佳乃に対して、どこにも行かなくていい、人として幸せに暮らしていけばいいことを願います。また、聖も長年の思いから、佳乃が言っていた通りムリしていたのか、佳乃も私も苦しまなくて済む、ほっとしている自分がいると言います。聖にとっても、自分を姉として捨て、母親の変わりとして生きてきたこと、父親も母親もいなくなり弱みを言える立場ではなかったことは年齢を考えると、かなり辛かったのだと思います…。

 

その後、佳乃の中にいる「彼女」の過去話へ進みます。

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彼女の名前は八雲。八雲には右の手首に酷い痣があり、佳乃はそれを隠すようにバンダナを付けていました。佳乃はバンダナがある時は、バンダナを見ることで自分が八雲ではないことを認識出来たのではないかと思います。

また、この時におきた大風は、翼人(神奈の母親)による力ではないかと思います。神奈の母親は、SUMMER√で同じことしてますし、呪いを受けていた理由の一つとして、あったのかと。そのため、お役人が村を訪ね、羽根を拾った者を探し、翼人の歴史改竄行う前だったのか、関係者を隔離しようとしています。

続きの内容は、八雲は母親に言葉を伝える前に、母親が八雲を庇い亡くなります。佳乃が囈言で言っていた内容は、翼人が記憶を継承できるように、羽根にも継承の力があり母親の記憶を継承したのかなと。そのため、佳乃の中にいる彼女は、「白穂」なのかなと。そして、佳乃は気持ちを伝える前に母親が亡くなってしまい、母親に何も伝えれなかった八雲と状況が似ています。そういった共通点が、母親の白穂の視点から、無念だった子への想い、八雲の母に対する想いが佳乃と似ている部分もあり、佳乃の中に白穂は存在するようになったのかなと。

 

そこから佳乃は自分の母親との再開を果たしました。

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佳乃は念願だった母親と会いますが、往人さんや、聖、ポテトのことを思い出し、帰る選択肢を選びます。元々母親に会って謝りたいと思っていた佳乃でしたが、往人さんの魔法の存在と言葉、佳乃を見守る聖や一緒にいるポテトのおかげで、心境の変化がありました。

母親は、佳乃に手を差し出しますが、佳乃はそれを否定し、母親から、「羽根がないから、空に来られないから、そこで幸せにおなりなさい」と伝えられます。母親の言葉は、八雲にも関連する内容であり、羽根を触ったことにより色々な出来事があった八雲でしたが、八雲に対して、羽根の存在を否定します。羽根に思いがあり、地上にいた八雲の夢は、八雲自身を母親が大事にする伝言から、また、佳乃が母親に対して「ありがとう」を伝えたことで、八雲の母親に感謝を伝える願いも叶い、夢はなくなりました。また、白穂も、佳乃の母親に習い、子の幸せを一緒にいるのではなく、子がいる場所での幸せを願ったため、悔やんでいた気持ちは少し解消されたのではないかと思います。それと、羽根の思いが幸せに繋がったことで、羽根は消え、翼人の悲しい思いが、少しは幸福に繋がる話ともなっていました。

 

その後往人さんは、佳乃に対して力を使い願ったことで、法術は使えなくなりました。

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往人さんは、佳乃√では、道をつなげるのが精一杯だった、力を使おうとしたら消えてしまったかもしれないと言い、この発言は観鈴√で消えてしまい、意志だけがそらになってしまったことを示すのだと思います。観鈴√では、傍にいて笑わせることが往人さんの願いでしたが、佳乃√では、佳乃を幸せにするために、自分という存在が必要なことが分かっていたため、力を使いすぎなかったのではないかと思います。

 

夢から覚めた佳乃は、お祭りに往人さん達と行き、エンディングへ進みます。

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往人さんは誰かを幸せにするという魔法を、佳乃のために使い、佳乃も往人さんに、ここにいてほしいという魔法を伝えます。往人さんにとって心残りだった空にいる少女は、風船が旅立ち、空にはあいつに行ってもらおうと言い、佳乃も空に対しての思いはこうして別れを告げました。この風船という演出を使い、現実で幸せになることを表現していました。

 

佳乃√では、守ることと失うことに対しての表現が多く、ポテトの行方が分からなくなった時、往人さんはこう言います。

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往人さんは、佳乃√では人形を使った稼ぎ方ではなく、バイトという方法で、立ち止まり、自分の生き方を決めていました。それと、佳乃を幸せにするには、そこで止まる必要があり、元々佳乃は空にいる母親に会い、進もうとしていました。

別のシーンでは、聖がこう言います。

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止まらずに進むこと。それは、進んだことによる、止まった人間が思いを残すことに繋がります。八雲にしかり、母親が亡くなったことで、失うことから残った人間の思いを内容にし、守られることで話が続いた佳乃√。それは、AIR√における、幸せに繋がるための道として、守るための観鈴を失い、晴子さんが進むための道のりともなった内容と対比がありました。

 

 

美凪√感想。

美凪√は、みちるがいることにより、母親との日常を時間をかけて取り戻す、毎日の母親と子供の関係を示す√でした。母親から子供への想いを伝える観鈴及びAIR√、子供から母親への想いを伝える佳乃√、母親や子供お互いの想いを伝え合う美凪√といったイメージが強かったです。また、日常という出来事において、一番濃い内容だったなと感じました。

 

美凪と思い出についての会話。そこで、往人さんは美凪の母親について尋ねます。

往人さんにとって、大切な思い出が詰まっている人形。その人形には、往人さんが忘れてしまった母親との思い出や、共に旅をしてきたことを思い出します。いつも透き通っているものの、届かない、明るさと辛さを混ぜているような気持ちがこみ上げてきており、往人さんの、まだ到達出来ていないことの、もどかしさが表現されていました。思い出という、自分も失くしてしまったからこそ、美凪は他の人の思い出にも強く共感しており、自分という存在の、晴れた気持ちで自分の居場所を見つけられていない二人だと、似ていると感じたシーンでした。
その後、美凪は母親の病気に対して、夢は現であり、夢の向こう側にはなにもないからこそ、現を夢で彩るしかないと言います。母親にとって、この後判明していく、流産したという真実。それは母親には受け入れることが出来ず、流産していない未来という、自分の娘を、流産した娘だと思う夢こそが、現実だと認識し、心を保っていました。美凪の母親も、夢を現として生きることで、母親としての愛情表現もあり、往人さんと初対面シーンでそのことについて関連する内容を話していました。

自分では、運べないほどのお米を母親は購入しており、誰かに配達をお願いしたらいいのに、自分で買い、運び、料理する…その料理によって娘が喜ぶことで、自分の苦労は平気であり、愛情がありました。不器用ながら、自分で買う所からこなすことが、母親の愛情の一つだったのかもしれません。AIRという作品において、母親の愛情という表現が強く出されており、考え深いシーンの一つでした。

そして、そんな状態の母親を受け入れ、夢の間と分かっていても美凪は娘としてやり切ろうとします。そこには深い悲しみや、あきらめがありました。しかし、みちるがそれを否定したことで、美凪の場所と存在は失わないように、優しさを見せ、大切に思っているのが分かるシーンとなっていました。

 

往人さんが、美凪から駅の鍵を借りるシーン。美凪にとっての駅を話します。

美凪にとって、駅は小さい頃の父親との思い出が詰まった、母親の夢の娘としてではなく、美凪としての思い出の場所でした。美凪としての思い出の場所は、寂れていくのは辛いと言います。それは、今の母親との現状を受け入れた美凪が、心の奥底では、父親がいたころの、前の美凪としての居場所を求めていました。

そのことを聞いたみちるは、夕方遅く、夜になる前に、往人さんの前に現れて気持ちを伝えていました。美凪との関係性を、みちる自身が現状の関係として続けるべきか、母親との関係を考えるべきか。いっぱいいっぱい考えてた、少し悲しいけど、やっぱりこれでいいと。みちるは美凪が、美凪として楽しめる少しの時間を選びました。そんなみちるの思い。みちるは誰にも伝えず、もしかすると、みちるは往人さんの前に今日は来ない可能性もあったかもしれません。でも、往人さんが好きなみちるは、自分の心の声を、往人さんに伝えに来ました。そこには、美凪と仲良くしてくれる、美凪としての時間を楽しませてくれる往人さんに、みちるとしての感謝もあったのだと思います。

その後、みちるは「もうすぐ、一番星が見えるよ」と言い、みちるはかえります。一番星という、金星の存在。金星は、地球の姉妹惑星と表現されることがあるみたいです。金星にかえる、金星という空から見える存在に対して、風に戸惑いながら、何とか飛び漂っていくシャボン玉。そして、一番星が輝く前にいた、遠い海風にあおられて、行き場をなくした鳥が一羽。夏の夕方に、まるでみちると、母親の夢の娘としての美凪の関係を表現したかのような文章が表現されており、会話だけではない、情景と心理にしっかりと、のめり込めるエモさがありました…。

 

幸せについて、往人さんが考えるシーン。

美凪は、みちるとの幸せな時間について話します。美凪にとって、みちるがいることで、自分が美凪としていられる場所と時間。その時間は美凪にとって、かげかえのない幸せな時でした。美凪√における往人さんは、旅の目的のみを覚えていて、母親との思い出や、行動目的ははっきりと分かっておらず、自分の時間と場所はどこにあるのかが分からない状態でした。見方によっては、往人さん自身も、美凪自身も、自分の時間ではなく、人によって左右される時間があり、その中でも懸命に幸せな時間を作ろうとしていた、と考えられるシーンでもありました。

そのため、幸せについて考えることも多く、時間は経つというのに、変化しない自分の時間と、周りの環境の時間。例えば、美凪だと大人にはなってゆくものの、家では美凪ではない存在として扱われ、みちるといる毎日の時間が、美凪としていれる時間。その時間の繰り返しであり、もし、美凪自身が、美凪という存在を忘れ、母親の夢の娘のみちるとして、ずっと生きることができたのなら、美凪になれないことへの哀しみはなく、安らぎを覚え、無意識に、心の傷も少しづつ癒されたのではないかと思います。

だからこそ、美凪は現状を受け入れる幸せか、母親の夢を覚まし、現実の新しい幸せを得るのか。また、往人さんが旅の目的以外で、新しい幸せを見つけることができるのか。みちるは目的のために、自分自身のために、いっぱいの幸せではなく、本当に価値がある幸せを見つけることが出来るのか。そういった、幸せについて考えることも多い√だったのだと思いました。

 

みちるが、母親について疑問を持つシーン。

みちるにとって、この時点では母親の愛情を受け取っておらず、疑問を持ちます。美凪√だからこそ、疑問をもったみちるというだけではなく、翼人である神奈から、羽根を使い人になったみちるだからこそ、神奈が触れることがあまりできなかった母親への想いがこうしてみちるにも通じているのかなと思いました。

 

学校の屋上へと、天体観測をしに行くシーン。このシーンでは、少女として当たり前に求めることができる内容に対して、往人さんが思うところがあるシーンでした。

天文部は、美凪一人だけの部活動であり、それは活動をする上で、楽しさをその場にいる誰かと共有できない内容でありました。悲しいことは一人で耐えられても、楽しいことを分かち合えない…そんな日常でよくあるような、当たり前の楽しさに対して寂しさを覚えます。その寂しさは決して美凪だけではなく、往人さんが追い求めた翼を持った少女に対してもでした。そんな寂しく悲しい光景を、風が吹いたという時間の変化の言葉を使い、美凪に対して、夜空に対して今も続いているかのように往人さんは感じます。でも、それは空にいる存在に対しての想い。今の時間を進むことができる往人さんは、こうしてみちるや美凪と一緒に、楽しみを抱えながら進み、想いだけが、空へ行き、美凪にとって、みちるにとって、幸せな光景と時間をその時はあったのだと思います。

また、この表現は飛ばない翼をもった少女に対して、周りが飛んでいてその場所に入ることができない、悲しいことも楽しいことも共有することができない美凪自身を、別の表現で表していたように感じました。

 

美凪の母親が、夢から目覚め、美凪と往人さんが屋上で出会うシーン。

美凪にとって、みちるは特別な存在でもあり、演じなければなれない自分自身でもありました。幼いころ、美凪にとって自分自身を好きでいられる家族との時間は、母親が夢の中で生きることで美凪は失い、美凪としての自分の時間はほとんど存在していなかったのではないかと思います。そんな時に出会ったみちるという存在。みちるがいることで、少しだけの時間ですが美凪の時間はあったのだと思います。しかし母親が夢から覚め、みちるで生き続けた時間は終わり、無償の愛情を求めていた美凪にとって、頭の中で予想はしていたとはいえ、心が追い付かないほど、辛い出来事でした。そんな出来事に、みちるとしての夢の終わりをさせるため、美凪だったころの父親との思い出があり、大好きだった星空に一番近い場所で、自分自身を考えていました。

美凪はこの後どうしていけばいいか分からず、往人さんが居場所を作り、彷徨いながら生活をしていくことになります。温もりを忘れ、やりたいことや当たり前の日常を忘れ、美凪自身、何もかもなくしたかのように感じ、流れるままに生きるようになりました。

そしてこの話を往人さんにする前に、美凪自身、躊躇っていました。

幼かったころ、美凪は母親に対して、大好きだった想いを伝える術や、伝えなくても気付いてもらえるはずだと感じていましたが、母親には気付いてもらえませんでした。また、母親も疎外感を感じ、寂しさを家族と共有せず複雑な心境だったのだと思います。こうした、誰かに寂しさ等を共有しないことが、往人さんに馴れ合おうとしない美凪と被り、母親に似ているなと感じたシーンでもありました。

 

みちるが生まれるであろう、前の話。

みちるの名前の由来。それは美凪とみちるという、二人いるからこそ、ずっと続いてほしい幸せを願った名前でした。美しく、凪のように落ち着いていて静かに、そして幸せを綴った名前と、凪に対して、幸せがみちてほしいこと。だからこそ、美凪にとって、みちるとの出会いや、過ごす時間は幸せそのものでした。きっとみちる一人だと、悲しみしか、みちなかったのかなと感じました…。

また、幼い頃に美凪は、背に羽を持つ女の子に、みちるを連れてきてくれるのだろうと信じます。それはもしかしたら、空にいる悲しく辛い思いを背負った少女が、幸せという答えを得るために、少しでも幸せを空に返し、みちるように、そんな意味もあったのかなとストーリーから感じました…。

 

美凪が、往人さんとの別れについて、父親のこともあり考えるシーン。

美凪にとって、自分が美凪で居られる場所に、信頼できる人間として父親、みちる、そして往人さんと3人目が出来ました。しかし往人さんは旅人であり、いつかは別れがあります。そんな別れに対して、美凪が感じる寂しさ。きっとそれは、他の人以上に感じるものではないのだろうかと思います。父親と離れ離れになり、別れを経験し、父親との思い出(駅に行ったり、星を見ることが好きだったり…)を追いかける毎日。そんな中でも、父親ではなく母親を選び、現状維持を続け、父親と一緒の自分を選ぶのでもなく、母親に対して自分自身をはっきりと伝えるのでもなく、寂しさの気持ちは何もできない自分への悲しみとなりました。だからこそ、別れに関して強く思いがあります。
悲しみしかない毎日。しかしそれは夢と同じでいつか覚めるものであり、時間と環境が影響し日々変わっていく出来事でもあります。そんな悲しみの先には、いったい何があるのか…

 

美凪の夢の終わりのシーン。

みちるは美凪との距離を破り、想いを伝えました。美凪にとって、一つの想いを受け取り、悲しみが静まり、美しい凪として、みちる時が来たのだと思います。往人さんにとっても、夢の終わりという、往人さんが感じた現の先が、ついに訪れました。

寂しさが足枷だと言った美凪。一歩も動けないと感じた美凪。往人さんは、そんな美凪に対して自分で選択するという行動を意思決定しろと言います。美凪でもあり、みちるでもあった遠野自身において、初めて自分で生きていく、別れと出会いが存在する世界で生きてゆく選択を、幸せを掴ませるように往人さんは行動しました。アニメ版ではない、ゲームだからこそある心情表現がとてもエモイ文章でした…(*´ω`*)

飛ぶという何かしら次の目的があるからこそ、出来る行為。辿り着く場所はあっても、そこに行きつくことは難しく、ただ日々を彷徨っていた意味。でもそれは、辿り着き、状況が変わることや新しい幸せを見つけることで、今までの彷徨っていた日々は大切な思い出として、別れに寂しさを感じ思い出になるように、その翼にとって大切な内容に変わるのではないかと思います。永い時間、変化のない毎日と、変化があり得た新しい答えが、日常における時間の重みと良さを表現していました…

 

みちるの夢の終わりのシーン。

みちるの存在。それは、空にいる翼を持った女の子から、生まれてくる前の遠野家の思い出を受け取って、羽を1枚だけわけてもらい、幸せにしてあげたい人達を幸せにして、空にいる女の子の幸せに繋げたいと思った夢のかけらの存在でした。女の子の羽はいっぱいの人達の思い出が詰まっており、その思い出は悲しみの羽だったのだと思います。(佳乃√でも、白穂や八雲の悲しい思い出が羽には詰まっていました。)そんな悲しい思い出だからこそ、みちるは幸せを求めたのだと思います。そうして美凪や往人さんと一緒にいることで、手に入れることが出来た幸せ。みちる自身は生まれてくることを許してもらえなかったからこそ、幸せで楽しい夢は、終わりを迎えることで寂しさと悲しみがありました。みちるはそれでも幸せな思い出を返すために、幸せだからこそ、涙を流したのだと思います。

ニンゲンには、思い出がないと生きていけない、そんな不器用な表現と真実。思い出があるからこそ、それを過去として今を生き抜く力を持っているのだと思います。その思い出は辛くとも、幸せであったとしても現を忘れ、囚われることは許されず、もし囚われてしまい覚めることを忘れてしまうと、悲しみに変わり過去を引きずっていくだけと。幸せな夢を見続けることは、夢であるからこそ、醒めないことはさみしい思いを周りから感じさせます。みちるは幸せな思い出や幸せにしてあげたい人達をみて、人々の思い出ということへ、新しく感じることが出来たのだと思います…。

 

みちるの思い出と、美凪のみちるに対する思いのシーン。

美凪の夢。夢の中では、みちるがいて、みちるの幸せを願って、意地でも泣かずに夢から醒めないことを願いました。泣くことさえできなかったみちる。いつも笑ってくれて、美凪の傍にいてくれたみちる。美凪はみちるに対して、罪の意識を持っていました。心のどこかで、みちるを憎んでしまったかもしれない、母をどこにも連れて行かないように願ったというみちるに対して思ってしまった出来事があり、憎んでくれたら夢を見なくてすむと言います。美凪にとって、夢の中では触れることの出来ないみちる。そんなみちるに対して、少しでも自分が出来ることは今いるみちるを幸せにしてあげること、また自分自身が美凪でいて笑える場所がずっと続いてきたからこそ、あるはずだった夢の中、幸せの中へと居場所を保つしかない、夢は醒めないといけないのに、分かっているのに、踏ん切りがつかない、そんな悲しさがありました。

しかし往人さんの行動で、みちるを夢から覚ますこと、夢の中だと嬉しいときにも泣くことができない、それは思い出にならないからこそ、美凪は踏ん切りがつきました。夢が終わるのなら、せめて、笑顔が暖かな日だまりの中でありつづけることを。思い出として、悲しみではなく、笑顔という幸せが残り続けることを。美凪は祈りました。

 

みちるが母親との食事シーン。

みちるが望んだ、幸せな時間。生まれてくることができなかったみちるにとって、当たり前に母親がいて、美凪がいて、家族で食事しながら、ご飯を分けてもらったり、何気ない会話をしたり…そんな幸せを感じ、母親に別れを伝えました。このシーン本当に良かったですね…(´;ω;`)

 

みちるとの別れのシーン。

夢の終わりは唐突にやってきました。みちるは美凪との思い出を話し、美凪は自分自身でも気付いていなかった、「美凪」としての笑顔を、みちるだけではなく、往人さんの前でも出来ていることに言われて気付きます。美凪の居場所は、みちるがいる時だけではなく、新しい場所を作ることが出来ました。だからこそ、みちるは往人さんと美凪に願いを託し、夢を終わらせようとします。往人さんには空にいる女の子のことを、美凪にはいつも笑ってもらうように…。美凪にはあまりにも悲しいことが多すぎたため、静かな少女となってしまいましたが、父親との幼いころのシーンでは活発的で、よく笑っていそうな雰囲気の少女であり、笑顔がとても似合うこと、また笑いに対して今まで悲しい思いをしてきたからこそ、その悲しさを上回るほど笑っていてほしいと願いを託したのだと思いました。

笑顔を忘れた人達が、笑顔を取り戻し、悲しみではなくあったかくなって生きていけることをみちるは望みました。空にいる女の子から、羽にあるたくさんの悲しい思い出を知り、笑顔でいることの幸せを知り、たくさんの幸せがずっとあり続けることこそ、元々翼人が星の記憶を継承し、人々の幸せな願いを望む存在でもあったであろうことから、羽であるみちるはそう感じ、思いがあったのではなかったのだろうかと、感じました…

 

美凪√エピローグ。

往人さんと美凪に願いを託し、それぞれ別の道を進むようになります。往人さんはこの夏、美凪やみちるとの思い出から、生きることについて考えていました。幸せな夢や、思い出…そういった出来事をずっと保ち続け、留まることは出来ず、明日に向かって何かしら変わって生きていくこと、それを寂しいと思います。寂しいという、活気を失い、満ち足りないこと。毎日を満ち足りさすためにこそ、変化が必要であり、停滞から変わっていくことをいい方向にも悪い方向にも進むことを悲しまず、よりよい出来事を目指して進んでいく…美凪√で、毎日少しの幸せと、悲しみを背負いながら生きた少女たちが、少しづつ変化し、進み続けることから往人さんなりの答えを見つけました。

そして進んだ結果、美凪は新しい幸せへと辿り着くことができ、笑い続けるための幸せとして、みちると友達になり、美凪として変化を受け入れるようになりました。美凪自身、足枷はもうなく、自分の意思で進むことを手に入れたのが、とても良かったですね…(*´ω`*)

 

 

SUMMER√感想

最期の翼人である神奈の話。翼人の願いと、呪いについての内容でした。

最初に、神奈は夢について、柳也と話します。

柳也は夢の内容を、雨雲で例えて話していました。また、雨雲は時が流してくれるとも。観鈴√で単語として出てきた入道雲や風という時間の概念に近しいものがあり、歌詞に出てくる鳥の詩は、雨雲や時をという昔の言葉を別の表現として、詩に持ってきているのではないかと感じる内容でした。

その後、神奈の夢の内容に話が変わります。

それは幼い頃の、母親がいた時の内容でした。翼人である神奈は、幼い頃から、周りにも助けてもらえず、立場から泣くことでさえ許されなかったのだと思います。しかし辛い内容ばかりではなく、温かい光と、夢の中には幸せな出来事もありました。その後、風が吹く(AIRにおける、時間が経ち、今の自分を鑑みる)ことがあり、今の自分も母親に逢いたいと神奈は言います。翼人の立場であることよりも、自分自身の願いを叶えたい。そんな少女の年相応の願いがありました。人に愛されてこなかったからこそ、自分が心を許せる存在であった母親に逢いたい。最後の翼人の、願いであり幸せへと繋がる道でした。

 

神奈は母親に逢いたい気持ちもあり、柳也と裏葉が協力し合い、社から逃げ出す計画を立てます。計画実行日、翼人である神奈、社にいた者を皆殺しにしようと襲われますが、何とか逃げ出しました。そして逃げている途中で、神奈はお手玉という遊びに興味を持ちます。

神奈は翼人であるからなのか、力加減が出来ず上手にお手玉が出来ませんでした。(お手玉に関しては、後に母親も出来なかったと言っています。)また、お手玉に関しては、アニメ版のAIR観鈴を笑わせるために、往人さんが法術を使い、人形でやった行動でもあります。時代が変わっても、お手玉という遊びは、大事な場面で誰かを笑わせる、そんな特殊な遊びでした。

 

母親に逢うために、逃げている途中。人々が祭りをしているのに気付き、神奈達は覗きに行きます。

神奈は初めて見る祭りに対して、翼人であるからこそ、疑問を持ちます。願いは必ずや天に届くと信じ、祭りを楽しむ人々。天に対しては、翼人である神奈は空を飛べず、益体もないまがいものだと言います。願いを届けられないと思う神奈でしたが、柳也から、「神奈もお願いをするといい」と言われ、自分自身が人とは違う存在であるからこそ、そんなことをこれっぽっちも思っていなかった神奈は驚きます。神奈は願いが心にあり、母と娘子が幸せそうに暮らしているのを見て、目の前の光景が信じられないと思いますが、柳也や裏葉が神奈に対して願いを叶えてみせると、勇気づけます。

今まで翼人の責任と、願いが許されなかった存在である神奈を、柳也と裏葉が少しづつ年相応の少女として心の変化を持たせました。だからこそ、この母親に逢うための旅の過程や、祭りといった出来事は、神奈の幸せとして残り、そのささやかな幸せの夢を継ぎ、翼人の魂の継承者に見せることで、幸せな道を続けてほしいという願いがあるのだと思いました。翼人は元々、星の記憶は永遠に幸せでなければならないと言っており、幸せな記憶を継いでいく存在であるからこそ、神奈が幸せだと感じた時間が、夢として続いているのだと思います。

 

高野山、金剛峰寺に向かう途中。柳也の過去話がありました。

柳也が誰かと心からの願いによる約束。それはこの過酷な時代を生きる中で、滅多にない、誰かを想うという温かな気持ちでした。そこから柳也は親について話します。柳也を育ててくれたのは雲水であり、雲水の祈りから、柳也は山賊に見逃され救われました。ここでも雲水という「雲」に関連する言葉があり、雲水の意味は、「雲が定めなく行き、水が流れてやまないように、一所にとどまらない自由な人。また、そのような境涯。」という意味でした。この雲水の言葉の意味を別視点で捉えると、旅を続けている往人さんにも通ずるものがあります。この「雲」という鳥の詩にも出てくる言葉を使い、自由に動き、いつかは空にいる少女と出会う(追いかける)と、そんな考え方も出来そうでしたね…。

 

神奈の母親との再会。母親は閉じ込められていました。

母親は戦の翼人として、今まで駆り立てられてきました。そして、娘の存在はいないと。そう言わなければならない理由がありました。(後に記述します。)しかし娘と会い、娘の願いや、柳也と裏葉の行動によって、石塚から解放されます。この時、母親は翼人ではなく、ただの家族として、母親と娘が一緒に暮らしてほしいと柳也や裏葉の思いを聞き、もし自分たちの人としての側面を大事にしてくれる人間が世に多ければ、運命は変わったかもと言います。この時点で、翼人の運命は残酷でした。

解放後も、母親に触れてはならない、この気持ちは母親だから分かると神奈や裏葉に言いました。(理由は後に記述します。)その時、合戦が始まり、母親は殺されます。このシーンで、佳乃√感想で書いた翼人が風を使っている描写がありました。

 

母親の死を、神奈は見届けます。

神奈の母親は、この山で朽ちようと考えていました。元々、朝廷から戦で人を殺す為に利用されてきた翼人の母親は、高野の僧により「不老不死」という題目で無理に生き長らえさせられていました。人を殺した呪いと、高野の僧による呪いが母親にはかかっていたのだと思います。また、この時の母親の呪いが、「自分に想いを寄せた者を病ませる呪い」であり、朝廷は翼人に想いを寄せる民がいた場合、その民は亡くなるように仕向け、翼人を囲む集団ができないようにしていました。そうした呪いをかけ信仰を民衆にさせないようにし、翼人の歴史を無かったことにしようとし、また朝廷内でも別の勢力が翼人の力を制御し利用しようと、不老不死による呪で生かしてきたのだと思われます。

翼人の母親は呪いがあるこの記憶を、娘である神奈に継がせるわけにはいかないため、記憶を継ぐ前に神奈の元を離れます。(それは神奈が想いを寄せる前に神奈の事を思い、離れたのかもしれません。)そのため神奈は翼人であるにも関わらず、飛び方でさえ分からない状態でした。(神奈の名前が、神などなしとなっているのは、神奈には、翼人ではなく、人として生きてほしかったという願いがあるのだと思います。)しかし神奈と出会ってしまい、呪いが神奈に行く前に朽ちようとします。(元々、神奈と離れることで、呪いを自分の世代で終わらせようとしていたのだと思います。)

母親は殺されましたが、想いを寄せるだけでなく、触れてしまっても呪われる呪詛であったため、神奈は母親を愛する心から、体に触れます。そして神奈が触れたことで、因果と諦め、母親は翼人の務めとして、呪いも含めて、記憶を継承します。記憶を継承したことで、神奈を苦しませてしまうことに対し、謝っていたのが辛かったですね…母親も被害者なのに…。

母親が亡くなり、神奈は母親と幸せに暮らす夢を叶えることができず、願いは残りました。この願いは、翼人の幸せのゴールの一つだと思います。

 

翼人の記憶を継ぎ、神奈は柳也や裏葉と最後の話をします。

神奈や柳也、裏葉は周りの敵に囲まれており、柳也は神奈を救い出し、今まで辛いことしかなかったこともあり、あたりまえの幸せに導こうとします。このシーンで、家族や海について話がありました。柳也は、そこから未来で幸せに祭りを楽しむ3人を考えます。神奈は、そういった出来事や今までの柳也との旅路を通じ、羽を忘れて一人の少女として楽しい夢だったことを言います。この海の話が、神奈が見てみたい場所の一つとなり、翼人の夢の一つでした。また、この旅が楽しい夢であったため、この後に神奈にかかる呪いは、この旅の途中を変えた悪夢をずっと見せ続けられます。

 

その後、神奈は柳也と裏葉に最後の命令を出し、二人を守るために、空に飛びます。

神奈の願いは、この時点で柳也と裏葉に末永く幸せに生きてほしいことでした。そのために、柳也と裏葉を囲っている敵を、翼人の力で滅ぼそう、そして呪いがあるため、柳屋と裏葉から距離を空けようとしていたのだと思います。しかし、解放された翼人の危険性を理解している高野の僧侶達は、自らの命を惜しまずに、翼人を封じ込めるために呪詛を唱えます。この時、高野を燃やしたのは、翼人の力を欲しがる、柳也と裏葉の敵である東国の傭兵団だと思われます。

呪詛による呪文と、傭兵による矢の攻撃。矢で体は痛み、呪詛を受けついには神奈は空に魂を縛り付けられます。その呪いこそ、悪夢をずっと見せられ続けるものでした。こうして、翼人である神奈には、子を産まなかったため最後の翼人であり、また母親の「心が近づくと病んでしまう呪い」と、神奈の「悪夢をずっと見続ける呪い」が出来てしまったのだと思われます。

 

翼人におきた悲劇。ついに観鈴まで続いた、夢の原因の正体が分かります。

神奈を空に捕らえている封術はいつか朽ちる日が来て、魂は輪廻を繰り返します。その魂は、記憶の継承であり、翼人が持つことの出来る記憶の許容量でした。しかし人にはその記憶はあまりに多く、記憶を最後まで見終えるより前に、亡くなってしまいます。そして呪いによる記憶のため、悪夢を見続ける呪いを、最後まで記憶を見て、幸せな記憶に変えなければ、悪夢を繰り返し、魂はまた継承されます。

そのため、観鈴の夢を見ることは、この記憶の継承だと思います。そして記憶の最初は、神奈が楽しいと感じた旅路から始まりますが、時間が経つにつれ、呪いによる翼への痛みや、悪夢に変わっていきます。この時点で心が近づいたら病んでしまう呪いも継承されているため、往人さんはあるはずのない痛みを感じます。そして記憶を見続け、記憶が人に対していっぱいになった時、観鈴は寝てしまい亡くなりかけました。

 

この神奈におきた悲劇をどうにかしようと、裏葉は手を考えます。その方法は、次の世代に引き継ぐことでした。

子供を産んで、意志を引き継ぐこと。裏葉は人形を作り、裏葉のころから往人さんまで人形は引き継がれたのだと思います。きっと、裏葉から人形に力を加えていき、人形には、1000年力が蓄えられたのだと思います。それと、柳也が残した翼人伝。この翼人伝により、空にいる少女の話は続いていきました。きっと何十年後、何百年後には、翼人という伝承があったことでさえ、朝廷によりもみ消されたため、知っている人はこの翼人伝を引き継いだ人のみではないかと思います。1000年間、まっすぐに伝承は続き、海神のような(日本神話最初に出てくる海神。現在も日本では有名であり、翼人の伝承も続いてほしいという願いの)強さを守ってきたのです。

このシーンで、柳也は「この丘の向こうには、何があるんだろう?」と疑問を持っていました。それに対して、入道雲のように期待を膨らませながら、旅を続けることができると。鳥の詩の歌詞にも、「この丘を越えた あの日から変わらず」と丘の言葉がありました。そして歌詞は続いて、「いつまでも まっすぐに 僕たちはあるように 海神(わたつみ)のような 強さを守れるよ きっと」となっており、この部分に関しては、柳也と裏葉が未来に期待し、いつかかけがえのない翼に巡り合えることができる、そんな伝承が続いていくことを「きっと」として、歌詞にしているのだと思います。翼人は、伝承として神に近い存在ではなく、ただの翼人という人として、巡り合えることを期待し、人の和を楽しみにする、そんな人間臭いような歌詞として、鳥の詩となっていました。鳥肌が立つほど、エモイ歌詞ですね…(*´ω`*)

 

SUMMER√の感想の一つで、よく月童というBGMが流れていました。月と子供という言葉の組み合わせ。この月に関しては、SUMMER√最後の方で文書があります。

このシーンでは神奈は空におり、神奈を子供として考えると、この「月だけが見ている…」という表現には、神奈が願った、「末永く幸せに二人は暮らしてほしいという願い」に対して、月しか柳也と裏葉を見ることが出来ず、そこにいるであろう神奈が今も苦しんで幸せになれていない、そんな悲しみのある表現だなと個人的に感じ、ゾッとする文書となっていました… また、月童にはLiaさんが歌ってくれている曲もあります。神奈がSUMMER√で経験・想いを歌詞にしたものであり、とてもエモくなっていました…(*´ω`*)

 

 

AIR√感想

AIR√では、観鈴が往人さんと出会う前の、そらの視点から話が始まります。

 

そらに関してのシーン。そらは人に対して考えていました。

そらは、前に母親に教えてもらったと言っていました。このことから、往人さんがそらになったのではなく、昔はカラスとして生きた鳥に、往人さんの記憶が入ったのだと思われます。また、カラスには霊魂を運ぶ霊鳥という伝承があるようです。観鈴がゴールし、解放された翼人の幸せな記憶と、観鈴として生きたたましい。このたましいを探し、運ぶために、カラスになったのではないかと思います。(逆の考え方もあり、もしかすると空にいた翼人としての魂である観鈴を、観鈴に運んでくるため、「AIR」という物語を見せるためかもしれませんが)

 

序盤。観鈴は、そらを肩に乗せ、浜辺で遊んでいる子供たちに手を振ります。

このシーンは隣に往人さんが寝ており、観鈴が夕焼けの下で、男の子と女の子を見て、手を振りながら「ばいばい」と言っていました。状況がAIRラストのシーンとそっくりであるため、ラストシーンは男の子視点となっているのではないかと思います。また、ここの別れに関しては、翼人の魂継承者の観鈴と、観鈴の人としてのたましいを継承した女の子が翼人と人間に別れを告げるための、「ばいばい」ではないかと思いました。観鈴の人のたましいが継承されたという文言は、近しい意味の表現がラストシーンに行く前にありました。

翼人としての役目は、観鈴の努力で幸せな記憶に辿り着き、終えることができました。そして、翼人の魂として刻まれた幸せな記憶は、翼人が観鈴のたましいと別れ、空に届けてくれます。翼人が記憶を持っていくことは、翼人という伝承を知っている人がいなくなり、伝承がなくなる完全な別れであるため、悲しい出来事ではありました。しかし翼人は「雨粒が大河となり、そして海に集まる」という例えを使って、晴子さんみたいに、空に想いがある人達の記憶にこういった出来事があったなと感じさせ、それが多くの人間に覚えてもらえると、翼を持つ人間がいたという事象が認知され残る、という感じで伝えました。

その後翼人からは、「あなたには、あなたの幸せを」と伝言を伝え、「その翼(たましい)に、宿しますように」と言われます。この後にラストの浜辺のシーンに切り替わるため、観鈴としてのたましいを引き継いだ女の子が、今から幸せを掴みに行こうとしているのだと思われます。この時、記憶がないのは翼人としての魂は終えたため、継承の必要がないことや、翼人が残し例えた「海」という言葉に対して、その「海」(海岸線、翼人が残してきたもの)の先にはなにがあるのか確かめてみたいという、何となく翼人のことを覚えている、そういった出来事があったからではないかと思います。(ラスト部分に関しての感想は、もう一度最後の方で似ている文章含め、記載します。)

また、観鈴がもし女の子にたましいを継承しているのだとすると、先ほどの男の子に手を振るシーンで、観鈴のころに、ぼんやりと喋った「楽しそう…あんなふうに遊べたらいいのにね」と言った出来事が、観鈴のたましいとしては女の子が叶えてくれていることになるので、エモイですよね…(*´ω`*) (たましいの継承に関しては、そらが感じた、小さな影たちは、おわりのない道を歩きはじめた、それはきっとぼくが持っていないものだ、と思うシーンもヒントではないかなと考えています。)

 

晴子さんと観鈴が喧嘩するシーン。そらがきっかけで、観鈴と晴子さんは喧嘩します。

そらを家族として受け入れてもらえない観鈴は、意地からそらを受け入れてもらえるようになるまで、家出をして晴子さんに許可をもらおうとします。晴子さんも最初は反対でしたが、観鈴の強情さに少しの時間で心が折れました。親子として距離を空けていると観鈴√では往人さんに言っていましたが、AIR√では最初から観鈴のことが大好きな、一人の母親であり、晴子さんの気持ちをしっかりと見れるようになっていました。

 

往人さんとの出会いのシーン。AIR√では、3日目に観鈴と往人さんは話し合います。

田舎だからこそ、情報が広まるのは早く、観鈴はこの夏休みもひとりきりで遊ぶ選択しか残されていませんでした。しかし往人さんを見て、この町の人じゃないからこそ、自分の願いの為に、話しかけてみます。観鈴は病気があるため、他の人とこころが近づくと癇癪をおこしてしまい、その病気を隠して誰かと近づくことに抵抗はありましたが、自分の中で許しと勇気をもらい、頑張ります。遊びたい時期に、ずっと一人きりだった観鈴。その苦しみはとてつもないことだと思います…。こうして観鈴のがんばりによる幸せへの道は始まりますが、それは観鈴自身の願いだけではなく、翼人のたましいを助けたいという願いでもあったため、観鈴自身、自分の幸せを本当に掴んでほしいと思いました…(´;ω;`)

 

観鈴は頑張ったかいもあって、往人さんと一緒に生活するようになります。そんな中、観鈴は一人きりのときにこう言いました。

観鈴は往人さんの前では、元気で明るい子として振る舞っています。それはひとりのときよりも印象を良くして、少しでも往人さんに一緒にいてもらいたいという願いから、自分自身を変えるための努力であり、観鈴にとっては往人さんは楽しい夏休みにするために必要でした。素の観鈴も強い子ではありましたが、普段以上に頑張っています。観鈴自身が、笑っていられるのが誰かと一緒にいることで、ひとりのときではだめだということが、後に往人さんが願った、笑い続けていてほしいという観鈴自身を大切にした願いであり、観鈴にとっても振る舞いを気にしなくてよくなったのが分かり、エモかったです…(*´ω`*)

 

観鈴が寝た後に、そらが何かを思い出すために、空を見上げるシーン。

空を見上げたそらは、悲しいと感じます。それは夜にしか見えない光を見て、帰れなくなったものの集まりだと。そらが思い出そうとしているのは、人間だった時の往人さんが感じた思いの一つであり、この思いは、何千年も空に翼人の継承者のたましいが囚われ、そのたましいが地上に戻りたがっている、空から解放されたい、そんな願いに聞こえました。AIRのシナリオでは、こういった風景や情景を使い、美しい文章でプレイヤーの心に響かせる、そういったエモさを感じることが多かったですね…(*´ω`*)

 

そらは普段観鈴といても、空を見上げると悲しい気持ちになっていました。

過去に往人さんは、空にいる少女を探し、その少女は空にいる夢を見て苦しみ、往人さんは何もしてあげられませんでした。往人さんは観鈴と同じ光景を見れたら、もしかしたら苦しみを少しでも紛らわしてあげられたかもしれない…そんな気持ちがあったのだと思います。空を見て、空にいる少女を探し、見つけたが悲しく辛い出来事が多く、そんな思いをそらはうっすらと感じたのだと思いました。

 

観鈴誕生日の晴子さんのシーン。晴子さんは誕生日プレゼントを購入したものの、渡さないでいました。

縁日の日。観鈴は幼く、根拠のない欲しい、育てたいという子供の発言として捉えた晴子さんは、親らしく、ヒヨコ買うことを反対します。それを聞いた観鈴は、年相応に駄々を捏ねるのではなく、ほしいと、遠慮がちに伝え、気持ちを抑えていました。晴子さんはそんな気持ちを抑えて子供らしさが少ない観鈴を見て、苦労しながら無意識に母親として、観鈴を育て、気付くと可愛いと思えるほどになります。

しかし、可愛いとは感じても、そこから気持ちが先には進まないように、親として最低限の子育てをするものであり、誕生日に祝ったことがないほど、観鈴とは距離を空けていました。親子として、まるで義務であるかのように、子育てのみをして、同じ家に住む他人の感覚で、心の距離を保ってきました…観鈴も晴子さんと心の距離を保たれることで、遠慮しがちで伝えたいことを濁す、そんな気配りができる本音を話せない子となり、本当の家族とは程遠い関係となっていました。(そのため、観鈴は空にいる夢のことを、往人さんには話したものの、晴子さんには話していませんでした。)

晴子さんも観鈴への気持ちに蓋をすることで、観鈴が一人きりであると似ている環境で、一人きりであり悲しそうな顔をしていました。そのことを、そらには観鈴と同じ顔だと思ったと言われます。

晴子さんも一人でちゃらんぽらんに生きてきたため、失うことへの気持ちに心は追いつかず(もしかしたら晴子さんの姉貴が亡くなったことによる、ショックもあり、大切な人がいなくなる辛さを味わったからかもしれません。)辛いシーンでした…(´;ω;`) (また、この時晴子さんは28歳であり、観鈴とは10年間過ごしてきたと言っていることから、18歳の時から子育てを始めたのだと思います。18歳から子育てを始めて、愛情を持ったときに離れ離れになる可能性がある…晴子さんにとって、どれだけ惨いことか分かり、晴子さんの観鈴との距離を空ける選択肢も分かります…( ノД`))

 

観鈴が学校で癇癪をおこし、晴子さんが迎えに来てくれるシーン。

観鈴が癇癪をおこすと、一人の母親の行動として、すぐに迎いに来てくれました。その後晴子さんは観鈴を連れて診療所にも行っており、観鈴を家に連れ帰った後も、観鈴が遊びに行こうとするのを観鈴の体調を心配し、家にいるようにと、親の役目を行います。その行動には愛情があり、観鈴も理解していました。こういった行動が、観鈴には響いていたのだと思います…

 

そらが、観鈴や往人さんが空について話し始め、考えるシーン。

このシーンで、そらは訪れる悲しみに対して、僕らは待つことしかできないと言います。待つことしかできないという言葉は、鳥の詩の歌詞の「僕たちは見送った」の部分に該当するのではないかと思いました。そして、歌詞の「眩しくて逃げた いつだって弱くて」という部分に関しても、戻ってこれない光たち(救えなかった翼人の記憶の継承者)を見て、どうにもできなかった無念がある、法術使いの想いを言葉にしたのかなと。

 

観鈴の体の具合が悪くなり、晴子さんが色々と考えるシーン。

晴子さんは観鈴が体の具合を悪くしているのに、時間と自分の怯えに負けて、一人で寿司を食べている自分を嫌います。長年かかった観鈴との距離を、往人さんの叱咤により自分自身を見つめ直し、晴子さんらしい、自分の心に嘘をつかないことを決意しました。親として最低限の務めをしてきた晴子さんも、誰かに叱咤されることで、自分の心の底に眠る、弱い部分と対峙することができ、観鈴の体の具合だけではない、往人さんのはっきりとした言葉で心構えを変えることができており、往人さんをきっかけに、神尾家も家族として動き始めたのがエモかったです…(*´ω`*)

 

往人さんが観鈴を笑わせるために、神尾家に戻り、観鈴は目を覚ますものの一人きりを自覚するシーン。このシーンでは、観鈴は往人さんが戻ってきたことに気付いていませんでした。

観鈴は一人きりでも頑張ろうとしましたが、晴子さんも往人さんもいなくなり、話し相手が誰もいない、楽しかったことの後に訪れた寂しさや辛さから、心が折れます。15~18歳の少女が、少し楽しいことがあった後に訪れた一人きり。いくら頑張ろうとしても、この先は辛いことしかないと感じ、ついに絶望してしまいました。このシーンは観鈴の気持ちを考えると心が痛みます…(´;ω;`)

 

観鈴が全てを諦め、そらが少しずつ思い出すシーン。往人さんがいなくなり、頑張れなくなった観鈴をそらは見て、心の中で少しづつ思い出していきます。

往人さんだったころに幸せで、一緒にいたいと願った記憶。一緒にいたら病んでしまう、二人とも助からないからこそ往人さんの母親までの世代は、翼人のたましいを継承した少女と往人さんがとった行動同様、最後には距離を空けていました。しかし往人さんはそれでも先に進む願いを持ち、心の底から、観鈴と一緒にいたい、観鈴には笑っていてほしいからこそ、同じ時間をやり直したいという願いがありました。今まで人形に蓄えられた「力」と、往人さんの純粋な願いが、奇跡を起こし、ついに未来への第一歩を踏むことができたのだと思います。

 

往人さんは、そら(カラス)になってしまったことを最初悔やみます。

往人さんがなぜ人の姿ではなかったのかは、予想ですが、人と翼人の関係は対等であってはならない、往人さんの人の姿と、観鈴の人の姿が同じではいけない、また、観鈴の魂を空から連れて帰れるのは、空に行ける存在でないといけないからだと思います。

理由として、AIRラストで晴子さんは、空はずっと届かない場所で、空は果てしなく続いてる。雲追いかけて歩いていくから、カラスのそらに、ひとの夢とか願い、全部空に返してほしい、そうすればうちらはきっと…ずっと穏やかに生きていけると言います。

この発言から、往人さんは人ではなく、カラスになることで、最後まで空に行ってしまった観鈴の魂と一緒に入れることが分かります。また、人では辿り着けない空という場所、その空を追いかけて希望を持てるのが人であり、その行為は翼人という空を自由に飛べる存在に希望を持つことであり、その希望の存在と一緒にいるためには、人では追いつけないからこそ、別の姿になる必要があり、翼人と対等の関係になれる人以外の存在になったことで、ずっと傍にいることが叶った、そう捉えれるのかなと考えました。

 

その後、そらの中にいる往人さんは努力し、自分という存在が曖昧になりながらも、観鈴を笑わせようとして、観鈴は笑い、往人さんは最期の力を振り絞って、観鈴に会います。

往人さんは観鈴との記憶を失いながらも、そばに居続けるという心からの願いが刻まれあるからこそ、ずっとそばにいると理解します。それはまるで、この後に起きる観鈴が晴子さんのことを忘れ、それでも晴子さんを母親と理解した心と、同じ感じでした。

そして往人さんは往人さんの姿として、観鈴に会い、その行為は、観鈴の絶望を取り除き、がんばる勇気をくれます。観鈴の世代についに、ずっと一緒にいてくれる、近付いた心を持つ存在が最後まで居てくれ、往人さんは誰も辿り着けなかったゴールに、辿り着けると言います。このゴールこそ、観鈴が次に目指したものでした。また、往人さんは消える前に、離ればなれになることがあっても、みすずを目指して、歩いていくと言います。この発言が、観鈴がゴールし、空に行った少女の魂を探しにいったことへ繋がるのではないかと思いました。

 

そうして、観鈴は往人さんから元気を貰いました。

往人さんの頑張りがあり、観鈴は再び「にはは」と笑うようになってくれました。このシーンは本当に泣けます…(´;ω;`)

 

観鈴はその後、一人で楽しいことして頑張ろうとし、そこに晴子さんが現れます。

ここからが、観鈴にとって母親と一緒で幸せだと感じる、第一歩でした。観鈴にとって、翼人の記憶を全て継承するまでの、幸せな時間。神奈が願った、母親とあまり一緒に居られなかったことの後悔も変わる内容でした。夏影のBGMと、晴子さんの観鈴の笑顔をずっと思い頑張れたことの、ストレートな愛情表現がエモかったです…(*´ω`*)

 

晴子さんは観鈴の病気に気付き、最初医者に診てもらって何とかしようとします。

晴子さんは観鈴のことを大切に思い、説得しようとしますが、観鈴の思いを聞いて、晴子さんは観鈴の頑張りを応援する方向性に変えます。晴子さんにとっては、現状が当然発生したことであり、理解が追い付いていないけど、観鈴の考えを受け入れ妥協する、そんな母親としての優しさがありました。

 

観鈴は最初、晴子さんに対して、心の距離が近付いた往人さん同様、いなくなられるのは嫌なので距離を空けようとします。しかし晴子さんはそのことに対して、必死に懇願していました。

晴子さんにとって、観鈴と家族として生きていくことこそ、自分が生きた証であり、輝いた人生だったと自分で認めれるようになると言います。晴子さんにとって、仕事にしても、観鈴を育ててきたことも、信念からではなく、何となく状況に応じてやってきたことであり、そこに自分の頑張りという自信はなかったのではないかと思います。観鈴のおかげで、親として、一人の人として、自分を変えれるときであり、好きになれる時が来ました。それを感じさせるほど、観鈴のことが好きなのが、エモイです…(*´ω`*)

 

観鈴はその後、晴子さんに髪を切ってもらいます。

髪を切る行為には、古いものを手放し、新しいことに備える手段として、気持ちを切り替える意味がありました。観鈴にとって、この行為は家族として、晴子さんと今まで以上に仲良くやっていくという、これから先に起きる出来事があっても、晴子さんだけは忘れない、そんな意志があるのだと思いました。また、観鈴は散髪の間に、恐竜のぬいぐるみを見て、恐竜への思いを晴子さんに初めて伝えます。恐竜に対して、共通点がある、今はもうどこにもいない翼人で考えなおしても、深い考えだなと思いました。

 

観鈴は自分が見た夢のことを、晴子さんに話します。

観鈴にも、この時点ではまだ何をしたら不幸が終わるのかは分からなく、夢はまだ続いていました。往人さんと一緒にいたころに見ていた夢は、まだ途中であり、往人さんの願いにより、観鈴はまだ翼人の夢(記憶)を追いかけることができているのが分かります。また、この先の予言を、予め往人さんが晴子さんに伝えたことで、観鈴が忘れていくことに対しても、晴子さんは心の整理が少しは出来たのだと思います。

 

観鈴と晴子さんが家族として仲良くなってから5日目。観鈴に変化が起きます。

観鈴は4日目の夜に夢にうなされ、体に痛みがあり、晴子さんに今の気持ちを伝えておきます。そして5日目。ついに記憶の継承が人では耐え切れないほどの量となっていき、今まであったことを少しづつ、全て忘れていきます。晴子さんにとって、家族として、自分の子に認知されない、母親として一番大変な時が来ました。

 

その後。晴子さんは観鈴と遊ぶため、外に出ますが、タイミングが悪く観鈴の父親である敬介さんと出会います。

久しぶりに観鈴と出会った敬介さんにとって、観鈴が元気な状態ではなく、ショックな出来事でした。そのため、敬介さんは観鈴を連れて帰り、病院に連れて行こうとします。その行為に、晴子さんは今まで思っていた、観鈴といつか離れ離れになる時がくる、そんな時に気持ちを隠しておこうとはいかず、自分の気持ちをまっすぐとぶつけ、「観鈴を取っていかんといてやっ!」と言います。晴子さんにとって、観鈴の存在の大きさと、自分の本当の気持ちを言える、母親として変わった瞬間でした。銀色のBGMもあり、泣けるシーンでしたね…(´;ω;`)

しかし、敬介さんも譲れないものがあり、晴子さんが必死に説得をして、3日だけ猶予を貰います。晴子さんにとって、観鈴と仲良くなったと感じてから、たったの5日間でおきた、自分のことをおばさんと呼ぶ、観鈴の行為に自分の母親としての自信をなくし、観鈴の答えを遮ります。観鈴に何がおきているかも分からず、話もかみ合わず悪い方向にだけ話が進んでいく…それでも、晴子さんは観鈴のことを大事にし、例え自分のエゴでも、3日間の猶予を何とか手に入れました。本当にエモイです…( ノД`) そして、何とか晴子さんの頑張りにより、観鈴はここで病院に連れて行かれなかったからこそ、観鈴の願いである幸せで居続けることも、この後叶っていきます。

 

3日間の猶予の1日目。この3日間の間に、親子の時間を取り戻し、観鈴に母親として認めてもらうため、晴子さんは必死でした。そのため、観鈴との思い出を作るために、海に行こうとします。

駄々を捏ねる観鈴に対して、晴子さんは朝早くから作っていた今日の楽しみと愛情を入れた弁当をしらないと言われたこともあり、腹が立ち観鈴を放置します。晴子さんにとって、母親の試練がきました。晴子さんは赤ちゃんのころから観鈴の世話をしたわけでも、観鈴を産むために痛い思いをしたわけでもなく、物心がついた時から観鈴の世話をしており、家族として、親子の喧嘩やしんどい時に子供の成長を今まで頑張ってきたわけではなく、母親という存在に心が折れそうになります。28歳という若さで、自分が選択した道でも、辛いことの前には挫けずに頑張りきるという行為は、今まで十数年目の前の出来事にあるがままに生き、信念がなかった晴子さんにとって大変な行為でした。そしてついには観鈴との約束さえ、現状に言い訳をし、切り捨てようとします。

その後。観鈴の部屋にセミが入り込み、セミを怖がる観鈴に対して、晴子さんは助けてあげます。

晴子さんは観鈴を見捨てようとしたことを悔やみ、観鈴と本当は一緒に居たくてもどうしたらいいか分からない、そんな気持ちから観鈴に対して「出ていかな、あかんかな…」と質問します。観鈴に対する気持ちやどうしたらいいかの答えが分からなくなり、観鈴と一緒に遊ぶために自分から積極的に行動する晴子さんの姿はそこにはありませんでした。そして部屋を出て行こうとした時、観鈴に「おしえて」と言われ、この時の観鈴にとって、今は一緒にいてもいい人物として晴子さんを、心を許せる存在になりました。

晴子さんはそんな観鈴の答えに、ふたりで一緒にいるだけでいいと、自分の答えと気持ちを言います。この時点で、晴子さんは親子の時間を取り戻すという自らの願いよりも、少ない時間の中、仲良くふたり一緒にいれればいい、観鈴のために自分を抑えられるように心持ちが変わりました。晴子さんが、母親として少しづつ成長する姿がエモイですね…(´;ω;`)

 

3日目の朝。観鈴は、トランプよりも晴子さんの料理を選んだり、晴子さんの前で笑ったりすることができるぐらいには、晴子さんを信頼し始めていました。

晴子さんという大事な人の存在を忘れた観鈴。そんな状態からのスタートでも、晴子さんのことを少しづつ受け入れていました。親子の時間がこうして少しづつ、再スタートする様子がエモかったです…(*´ω`*)

 

時間は進み、敬介さんとの約束の時間に。敬介さんは観鈴に質問しようとしますが、晴子さんはそれを断ります。

晴子さんにとって、晴子さん自身のことよりも、観鈴が久しぶりにゆっくりと寝て、ええ夢を見ているという、普段から夢にうなされている観鈴を知っているからこその、観鈴を大事にする気持ちから生まれた言葉でした。覚悟を決めて、最後まで自分自身を貫き通し、子を見守る姿が良すぎます…(´;ω;`)

 

晴子さんは最期の思い出として、観鈴と海に行きます。

観鈴との海は、晴子さんにとって観鈴が子供の頃の時間を取り戻す行為でした。これから別れるであろう観鈴との家族の時間を取り戻す為に、観鈴と海に行ったこと、観鈴と生活し、喜怒哀楽があったことを晴子さん自身は覚え、観鈴が忘れてしまっても、かけがえのない思い出として残し、家族としての時間を、晴子さんが大切にしたい記憶として刻むこと。晴子さん自身が大好きだった観鈴との時間を肯定する、今まで逃げてきた自分自身に対する抵抗でもありました。

 

その後、晴子さんは観鈴を敬介さんに渡します。その時カラスのそらを見て、伝えた一言。

晴子さんの性格らしい、ストレートな言葉でした。授業参観で晴子さんのために、観鈴は手を挙げるも答えを間違えたり、よくコケて「がお…」と言っていたりするものの、その背景には晴子さんに、自分の頑張っている姿を見てほしいことや、くよくよせずに笑い飛ばそうとしたりして、最終手には人を笑顔にさせる、そんな良さを持ち、家を明るくしてくれとったお姫様と言ってくれる、観鈴というキャラの良さを詰めた言葉でした。この台詞は凄く好きです…(^^)

 

敬介さんに観鈴を渡した後。観鈴は目覚め、心のままに行動します。

晴子さんは最初、敬介さんが観鈴を抱きかかえるのに失敗したと思い、観鈴が好きな物を放り出してまで頑張っている姿が分かりませんでした。観鈴が、動かない足を、どうにかして動かし、頑張りぬくほどの思いを持ち、行動する意味。それを観鈴の口から「ママ、どこぉ…」という言葉で気付きます。十年間心の距離を空け、観鈴と接し、観鈴が晴子さんのことを忘れて、一緒に何とか過ごした3日間。そんな出来事から晴子さんは観鈴は自分を選ばないと思っており、せめてもの母親としての観鈴を幸せにする気持ちで行動していました。

しかし観鈴にとって、一度失った母親を、晴子さんが母親として大事にしてくれ、また晴子さん自身を忘れてしまっても、心では晴子さんが大好きなことを覚えており、どんな好きな物よりも、自分が動けないことを無理してでも、母親と一緒にいたがっていました。晴子さんが母親として、観鈴神尾観鈴として、親子関係が再度、1からやり直すときが来たのです。このシーンは、背景の言葉と、カラスのそらが思った「これからもずっと歩いていきたい道」という表現、BGMもあり号泣でした…( ノД`)

そんな観鈴の状態を見て、敬介さんも晴子さんを観鈴の母親として認めます。敬介さん自身、最愛な人を亡くし、色々な感情がごちゃごちゃになり、観鈴を晴子さんに任せた経緯を、観鈴から逃げてしまった自分よりも強いと言い、現状忘れてしまった観鈴と、その状態の観鈴が晴子さんを選んだ背景から、自分の愛情以上の愛が晴子さんにあることを知り、母親として任せました。晴子さんの母親力が凄すぎます…(*´ω`*)

 

翌日。ここ最近なかった、体の痛みが観鈴を襲います。

翼人の膨大な記憶を受け入れること。それは、大切な人の存在を忘れてでも容量は足りず、呪いと一緒に、観鈴に流れ込んできました。晴子さんにとって、自分のことを忘れ、幸せへと進みそうだと思ったのに、それでも辛いことは続き、また、往人さんが残した言葉の、観鈴が死んでしまうことを思い出し、絶望します。なぜ、観鈴だけが辛い思いを…そんな気持ちの中、観鈴の願いだけは叶える、幸せにしたると再度自分自身に気合を入れます。進むべき道が分からなくても、己の選択で必死に努力する…そんな晴子さんの姿がありました。覚悟を決めた母親の意志が凄すぎますね…

 

祭りの日。その日は、雨でした。

祭りの日に訪れた台風。その影響で、祭りは中止でした。仮に祭りが延期されても、観鈴が寝ずに起きておくなんて無理な話であり、晴子さんは最初、雨が奇跡によって止んでくれるのを待ちますが、そんなことは起こりえませんでした。それでも、何かの可能性に縋って、観鈴が起きている状態が限界なのもあり、祭りの会場に行くものの、やはり何もなく、晴子さんは10年前同様、何も観鈴にあげられないことを絶望します。この祭りは、晴子さんと観鈴にとっての、家族として始まったスタートラインであり、やり直し地点でした。今まで、この祭りで何も思い出を作ってあげられなかった晴子さんは、この祭りで思い出を作ることで、観鈴にとっての家族の思い出、それがあるからこそ、幸せになっていけるんだという思いがありました。

 

そんな中、晴子さんは自分が昔渡そうとしていた恐竜のぬいぐるみを見つけます。

供えられていた恐竜のぬいぐるみは、神社に来た、別シーンで姉の志野さいかの病気がよくなりますように等、色々な人達の思いが詰まっていました。そんな思いをいつか叶えるために存在し、それは翼人の魂を受け継ぐ観鈴が手に入れることで、幸せな思いの一部分になったのではないかと思います。そしてそのぬいぐるみへの思いは、もちろん晴子さんもありました。晴子さんにとってそれは観鈴に渡すことで、幸せな思い出となり、その幸せを大事に育てていくことで、家族としてのスタートが切れる、そんな思いがあり、観鈴と頑張ってふたりで捕まえようとします。

しかし観鈴は体の痛みと、寝ていないという限界の中で、誰かに手伝ってもらわないと体が動かないほど、疲弊していました。それでも、晴子さんは必死に応援し、何とかふたりでぬいぐるみを捕まえます。そのぬいぐるみが観鈴の手に渡ったことで、祭りの日に晴子さんから観鈴に対して何かしてあげ、思い出を作れたこと、また、観鈴の誕生日プレゼントという、観鈴が生まれたことを祝ってあげれる、晴子さんが初めて観鈴のことを祝ってあげれた瞬間でした。

そして幸せへと進み、一緒に歩き、大きくしていこうとスタートをやっと始めることができ、観鈴にとっての幸せな記憶の一部分となりました。晴子さんがぬいぐるみを購入し、そらがぬいぐるみを運び、観鈴がぬいぐるみを手に入れる… 遠い道のりの中、やっと達成できた幸せ… エモすぎます…(´;ω;`)

 

夜。観鈴は嘘をつき晴子さんを何とか休ませ、観鈴はまだ体の痛みがありました。

観鈴の体の痛みは、翼ではなく、別の場所の痛みでした。この時点で、翼が痛くないのは翼人に溜まった、神奈の母親の呪いはついに解消されたのではないかと思います。ただ、膨大な翼人の記憶による、記憶の継承の痛みがまだあるのかなと思いました。そして観鈴は絵日記を書き、青空の下で、ふたりでゴールをむかえたいという気持ちから、いつか往人さんが言った絵日記に書いたことは俺が叶えてやる、そんな意味もあったのか、観鈴は寝ても朝には亡くなりませんでした。

 

翌朝。観鈴は見た夢の内容を晴子さんに話します。

観鈴が見た夢の内容は、おそらくですが羽根のある恐竜(終わってしまった翼人という存在)の上を観鈴が飛んだことで、翼人の記憶を全て継承し、すべてを受け止めることができたのだと思います。そんな千年も続いてしまった悲しい物語を、ついに終わらせることができる、その夢を幸せで終わらせたいという観鈴の決意がありました。

 

そして夢が終わったことを聞いて、体の痛みがなくなったと観鈴本人から言われた晴子さんは、幸せが訪れたことに感動します。

観鈴の幸せを心から願った晴子さん。体の痛みと、記憶をなくすこと、少しずつ幼くなっていく観鈴に対して辛いことは多かったですが、やっと、朝観鈴が笑ってくれる、そんな願っていた家族として当たり前の日常が訪れます。そして観鈴の笑顔という幸せが続くことが分かり、晴子さんは心の底からホッとし、辛いことが多かったからこそ、幸せへの感動に泣きたくなるほど、気持ちの動きがありました。本当にどうしようもない状況から、幸せという心の支えと救いがあった晴子さん。気持ちの変化や晴子さんが感じた幸せがエモすぎます…(´Д⊂ヽ

 

時間は経ち、観鈴の願いで青空の下へ。観鈴から離れた位置に、晴子さんとそらは一緒にいてもらいます。

観鈴は風という時間を感じ、今までの出来事を思い返します。そして晴子さんとそらに観鈴の最後の目的である、ゴールすることを頑張ろうとしていました。晴子さんとそらがゴール位置にいてもらったのは、翼人の魂の継承者である観鈴が、歩くことで、人である晴子さんに辿り着き、翼人としての終わりも示していたのだと思われます。

また、晴子さんとそらである理由は、最後の翼人であった神奈において、家族だった柳也という、現代におけるカラスのそらにいる往人さんの立ち位置、裏葉という神奈からすると血の繋がっていない母親の感覚に近い、自分に愛情を注いでくれた人物であり、現代における晴子さんがその立ち位置に近いのではないかと感じました。そのため、家族に待ってもらうことで、やっと柳也と裏葉の元に神奈が辿り着くことが出来たという、意味合いも含まれるのかなと。

 

そして…。

観鈴のゴール。それは約千年続いた、翼人の話の終わりでした。翼人の魂の継承者はいつもひとりきりで、不幸の記憶のまま、なくなります。しかし観鈴は、最後まで翼人の記憶を継承し、晴子さんや往人さん、そらによって得た幸せな記憶によって、生を終えることで、繰り返される呪いの不幸な物語に、終止符を打つことができました。

何度も挫折しながら、往人さんや晴子さんに助けてもらいつつ、頑張れた観鈴観鈴はその努力をがんばってよかったと言います。それは観鈴が空にいる少女を助けてあげたいという優しい気持ちから続いた、観鈴にしかできないことでした。観鈴にとっての幸せは、空にいる少女にも通じる出来事であり、母親と一緒に入れたことで感じた温もりによる幸せ、いつか楽しみたかった誰かと夏祭りや海を見ることの幸せ、そういった出来事を叶えることで、観鈴にしかできなかった救いたいという気持ちと重ね、幸せの道へと続いたのだと思います。そうして、ずっと探していた、幸せな場所へとたどりつくことが出来ました。

晴子さん視点からすると、観鈴の願いだけは叶えてあげないと、という気持ちから今まで行動してきたので、観鈴の願いを強制的に中断させることはなく、観鈴のゴールに対して何とか観鈴に納得してもらえるよう、必死に自分の感情を訴えかけました。観鈴のゴールはまだまだ先で、家族として始まった、昨日やっとスタートきれたからこそ、幸せを取り戻してゆく、晴子さんにはまだまだしたいことがあると言います。晴子さんにとって、観鈴を祝い、家族としてスタートできたのは夏祭りの日の思い出からで、これからこそ重要であり、観鈴が幸せでいることがこれからの自分の幸せでした。

しかし観鈴は、幸せだったからこそ、家族としてのスタートも、ゴールすると言います。そうしてたどりついた幸せな場所とゴール。そのゴールには、翼人に近しい存在の観鈴が、人である晴子さんを置いて、空に羽ばたき、晴子さんには人としての幸せを見つけてほしい、そんな意味もあったのではないかと思います。ですがそんなゴールを目指した観鈴も、往人さんが言っていたやりたいことを書けといった絵日記には、晴子さんと一緒に幸せに暮らす、そこにはカラスのそらもいる、幸せな願いをかいていました。人である観鈴の願いは、幸せに何年もふたり笑い合いながら過ごすことだったのではないかと思います。それでも、優しさゆえに空にいる少女を救うことを選びました。このシーンはふたりの思いがエモすぎて号泣です…(´;ω;`)

また、幸せへと繋がった観鈴の気持ちや翼人の思いを、挿入歌である「青空」が歌詞にしてくれたのではないかなと思いました。青空の歌詞は、最初「あの海どこまでも青かった遠くまで」と始まります。これは神奈が途方もなく大きな水たまりと聞いた海を、実際に見た海はどんなものかを表現したのかなと。

続いて、「あの道どこまでも続いてた真っ直ぐに」は、この幸せへとゴールした道は、最初から、真っ直ぐに誰が継承しても、続いてきたことを示すのかなと。

「一番早く素直に笑った者勝ち 一番好きなあの人笑ってる」は、一番好きなあの人は、母親の存在である晴子さんのことではないか、その晴子さんが笑っている、そんな笑っている晴子さんの母親像を目指して、誰が一番早く、続いてきた翼人の魂の継承の道で、素直に笑うという幸せに向かえるか、幸せな表現で歌詞を書いているのかなと。

「誰よりも遠くに行ってもここからまた笑ってくれる? 瞳を閉じればふっと夏の日のにおい」は、翼が生えた観鈴が、人が辿り着けない空に行ってしまっても、人である晴子さんには笑っていてほしい、自分がいなくなったことを嘆くのではなく、幸せに思ってほしい、自分も時折瞳を閉じて、風を感じて、潮や陽のにおい、おかあさんのにおいを思い出すから、幸せだったからと、そういった感じかなと。夏の匂いに関しては、最後の方で会話がありました。

「あの川 遊んでる ふたりきり泥だらけ あの雲 追っている 届いたら幸せと」は、誕生日の日、往人さんと泥だらけになりながら川で遊んだ思い出。水の掛けあいをしたいと望んでいた観鈴のやりたかったことの一つ。その後、観鈴は夢の話を往人さんにし、いつか空にいる少女を救いたい、その夢を知ることで、叶えることで、幸せになれるのを意味してるのだと思います。

「一番早くこの坂のぼった者勝ち 一番好きなあの場所目指して」は、一番好きなあの場所という、観鈴の思い出になった夏祭りの会場を示すのではないかなと思いました。そんな夏祭りの日の幸せを、観鈴がしたかった、かけっこという言葉を変えて、一番早くこの坂のぼった者勝ちという表現をしたのかなと。

「たくさんの思い出がある 他にはなにもいらないぐらい 瞳を閉じればすぐあの海の匂い」は、観鈴がこの夏やすみに経験した、幸せ。晴子さんがもっと幸せがあると言っても、観鈴にとっては、十分すぎるほどの、幸せだったのだと思います。そんな幸せの思い出として、最後の思い出は海の匂いと一緒に、刻まれたのだと思います。ここで海という言葉が使われたのは、神奈が海についての会話を、凄く好きだったことから繋がるのかもしれません…。

「また夏がくる銀色に光る 水面に映すふたりぶんの影」は、晴子さんが願った、観鈴との家族の幸せ。そんな大きく育った幸せは、毎年夏に存在していたかもしれない夢。銀色に光る水面に映すふたりぶんの影という、夏の快晴の中、実体ではなく存在しない影として、あってほしかった幸せを表現しているのではないかと思います。また、毎年晴子さんが観鈴と、海を見に行ければよかったなと、後悔したシーンを、海に行ったという感じで表しているのもあるのではないかと思います…。

「誰よりも遠くにいってもここからまた笑ってくれる? 瞳を閉じればふっとあの日の青空」は、先の歌詞で存在しなかった幸せがあっても、再度、観鈴と過ごした時間を思い出し、それは幸せで楽しかった思い出であり、笑ってくれる晴子さんを期待したのだと思います。瞳を閉じればふっと あの日の青空 になっているのは、観鈴視点からして、最後は上を向いて、晴子さんの顔と、青空を見ながら、幸せに亡くなれたから、青空という、空を見ながら空に旅立ち、幸せになったのではないかと…。

あくまで、青空という曲に対して自分が思ったイメージではありましたが、凄く幸せなイメージが伝わるエモイ曲でした… 号泣です…( ノД`)

 

観鈴が亡くなり、その後。晴子さんと敬介さんの会話から始まります。

観鈴と生活し、家族として、観鈴に対して何をしてあげたらいいかの毎日で、必死だった晴子さん。その日々は、晴子さんを挫折させるほどの辛さや、その辛さを乗り切った先にこそ見える、日々の幸せがたくさんありました。晴子さんは家族の生活を通じ、昔以上に、辛いことや幸せを知り、その行為こそ、人が生きるという、人生について考えます。そしてその時間を省みた場合に、自分は生きとった、どんな結末になったにせよ、子供を亡くしたにせよ、観鈴の母親として、自身の行動を誇りに思います。もしかしたら、それは他の母親の目線から見ると、途中経過や最後にしても、立派に捉えられないかもしれません。それでも、晴子さんは自信がありました。

そして、晴子さんは、幸せや辛さ、生きるという行為を知ったからこそ、自分はこれから子供に対して、いろんなことを教え、いろんな家族に囲まれて生きていきたいという目標を見つけます。それは母親として必死に生きたからこそ、見つけることが出来た自分でした。

また、敬介さんも、晴子さんの話を聞き、自分の長い休み、僕の休暇も終わりだと言います。敬介さんも、観鈴のことを大事に思って、晴子さんに預け、自分自身の妻を亡くしたことによるショックと、娘のことを考えるために、気持ちを落ち着かせるための時間をおいていました。そして晴子さんが観鈴の母親と認め、その数日後には観鈴が亡くなってしまいます。

父親として、観鈴が好きだった自分。どんな過程があったとはいえ、観鈴が亡くなってしまったのは、離れ離れで一緒に生活をしてこなかったからこそ、晴子さん以上に気持ちがしんどい部分もあったのではないかと思います。しかし敬介さんは、妻のショックもあったのか、大事な人を亡くすという点においては、晴子さん以上に、少しは気持ちの整理が出来ていました。もしかしたら、母親としての晴子さんの方が、観鈴を亡くしたことによるショックが、自分以上にあるかもと思った、敬介さんの大人としての行動ゆえかもしれません。だからこそ、晴子さんは敬介さんのことを、「強なったんやな、あんた うちなんか、追い越して」と言ったのだと思います。

そして敬介さんは、晴子さんが前向きに進み始めたことを知り、観鈴をずっと任せてきたこと、観鈴が亡くなり、そのことで立ち止まるのではなく、晴子さんは自分の生き甲斐を見つけ、生きようとしていくことを分かり、自分も気持ちを整理したり、立ち止まるのは、これで終わり、長い休み、僕の休暇も終わりだという、前向きに生きようとします。観鈴の頑張りが、こうして二人の人生を新しい幸せの方向へと、進み始めさせました。

 

続いて、晴子さんはカラスのそらを見かけ、話しかけます。

晴子さんは、自分が生き、自分の信念通り誰かに教えることを、そらに対しても行いました。そして自分は人であるからこそ、雲追いかけて歩いていく、踏み出せば道は続いてると言います。人と空を飛べる存在は、ここで共に生きるのではなく、別れるという意味もあったのかもそれません。だからこそ、そらに対して一つお願いをしました。それは、空を飛ぶことができるそらだからこそ、人の代わりに、ひとの夢や願いを空に返してほしい、そうすることで、穏やかに生きていけると言います。

人として穏やかな生き方。目標である夢や、こうなってほしいという願いは、努力による達成か、自分自身では簡単には叶えられないもの。そんな叶えられないものだからこそ、空に願い、気持ちを和らげること。晴子さんは、千年前になくなった翼人という、空を飛ぶことができる神様に近い存在に、例え伝承がなかったとしても、空を信仰していました。それは空に関わった少ない人物がこの夏を経験し、感じた思いであり、海神とは別の形で、人の心には残ったのだと思います。朝廷が翼人の存在を消しても、想いだけは残り、自分はとても美しい出来事だなと、感じましたね…(*´ω`*)

また、人の呪いによって苦しんできた翼人と、空にいる何人もの、苦しんできた少女たち。空に対して、ひとに夢や願いを返すことで、幸せになってほしい、そうとも捉えられる、晴子さんの伝えたい事かなと感じました…

 

続いて、そら視点。そらが感じた正体に気付きます。

そらは、空にいる観鈴の魂の存在を探しに、飛びます。観鈴は、夢の中で翼人を追い越し、更なる上を飛び、最後には空の彼方にまで行ってしまいました。そんな観鈴はひとりきりの状態であり、誰も、近くにはいませんでした。だからこそ、往人さんの思いがこもったそらは、観鈴に笑っていてほしいからこそ、ずっと傍にいると誓い、探しにいったのだと思います。また、観鈴がひとりきりの空だからこそ、悲しみをそらは感じていたのではないかと思います。そらは、観鈴を見つけ、新しい始まりとこの星の大地に帰るために、高みを目指しました。このシーンの続きが、AIRのDREAM編冒頭のシーンに繋がるのだと思われます。

DREAM(夢)の序盤に、AIR(空)が続いていく。このことから、この翼人と観鈴を関して千年続いた話こそ、AIR(そら)という物語なのではないかと思いました。そして夢が終わり、新しい始まりこそが、ラストシーンではないかと…。

 

翼人とは何だったのか、話がありました。

翼人とは、星が生まれ少しづつ変化していく中、生まれた存在。そして星の記憶を継承し、星の魂が傷つかないように、幸せでいることを証明する存在で、星が幸せで居続けるため、生きる者たちすべてに、恵みをもたらし、幸せであり続けようとすること。その恵みから発生するであろう、時の流れと多くの困難。星に住む、次なる生きる存在が、幸せに生きるため、場合によってはいつの日か滅びる時を迎えることも覚悟していました。しかし、滅びるときには、憎しみや争いで空が覆い尽くされ、終わるのではなく、幸せな記憶がある状態で終わること、そうすることで、役目を終え、眠りにつくことができる、星に対して幸せだと証明できることへ繋がるのだと思います。翼人は、星の理解者に近い存在だったのかと。

そして、観鈴が幸せな記憶として終えたことで、最後の翼人である神奈が、別れの時が来ましたと言います。それは、人との別れでした。神奈は空に、幸せな日々の記憶を届けると言います。それを聞いて、観鈴は悲しんだのでしょう。空にいる少女が終わることが。元々、恐竜が好きで、終わりを迎えた者に対して、感情を持つ、優しいキャラだったので…。

しかし神奈は、あなたと共にある、悲しむことはありませんと言います。何故なら、自分たちがいたという記憶や空に対しての人の思いは、星の至るところに散らばっており、その記憶や思いが集まることで、どんどん大きなものとして残っていくからです。神奈はそれを、「雨粒が大河となり、そして海に集まるように…」と表現していました。そして、神奈は、観鈴に対して、観鈴の魂には、あなたの幸せを、その翼(これからの人生)に宿しますようにと、伝えます。こうして、翼人の魂を継承した観鈴は終わり、人としての魂を持った観鈴が、翼人ではなく、人として輪廻転生したのではないかと思います。

 

ラスト。

少年と少女。この少年は、そら(往人さん)の生まれ変わりで、少女は、観鈴の生まれ変わりではないかと思います。少年は最初、自分がいつからここに立っているのかわかりませんでした。それは、今まで、カラスであるそらの記憶を綴ってきたからではないかと思います。観鈴の魂を探しに、空へと飛び立ったそら。観鈴の魂を見つけることができたのか、往人さんが望んだ願いである、観鈴のそばにいて、笑うのを見ていればそれで幸せだったという思いが、叶ったのではないかと思います。

そうして、日が暮れる前に、翼人の魂の継承者だった観鈴と、前の自分だった往人さんが、何をしてきたのか、翼人にまつわる話を、明日になる前に少女に話そうと少年はします。観鈴は、翼人と別れ悲しみましたが、人である少女の観鈴にはもう翼人の話は終わったため、人として生きているからこそ、記憶がありませんでした。だからこそ、何があったのかをそらを通じて、「AIR」という作品で、伝えたかったのではないかと思います。少女も、海岸線の先(海より向こうの、そらの物語)に、何があるのかを確かめたいと心の中には残っていました。

そして、最後の夕暮れでは、少年と少女は、翼人の話に纏わった観鈴と往人さんを見て、「彼らには、過酷な日々を。」という、そらへ羽ばたく、幸せを得るための辛い物語を、少年と少女には、「そして僕らには始まりを。」という、これからの人として幸せを目指して発言します。その後、「さようなら」と、翼に纏わる幸せな話とは別れ、人として生きるという道を進み始めました。こうして、千年続いた物語は、終わりを迎えたのだと思います。そのため、エンディングは「Farewell Song」(別れの歌)となっているのだと思われ、歌詞も今までとこれからに関しての内容でした。

「白く途切れた 夢の切れ端を捕まえて 少年は走る」→ 夢の切れ端は、千年続いた翼人に纏わる物語の、観鈴や晴子さん、往人さんやそらが経験した、最後の夢の部分。白く途切れたという、それまでの過去は不透明であり、夢の最後の部分を、少女に伝えようとしているのではないかと。

「手を放したら どこまでも遠く風の音に 消えてゆく」→ 翼人に纏わる物語の夢は、どこまでも遠く風の音(どんどんと経っていく時間)に、語り継がなければ消えてゆく。

「ひとつだけの 思いを飛ばして」→ 幸せで終わったという、思いとともに

「まぶたの裏に 描き始めた絵は霞んで 手のひらでこすっても」→ 時間は経ち、自分たちが経験した翼人の物語は霞み、もやは取れない様子。

「いつか見えた優しさはもう無い ひとり踏み出す足だけ見てる」→ 翼人の物語にあった幸せ、飛ぶことへの自由はもう分からず、人として、飛ばずに歩いていく自分や、優しさとは別の、これからの期待を自分自身が見ている。

「朝には消えた あの歌声を いつまでも聞いてた」→ 夕暮れをすぎ、日が変わり、忘れてしまっても、あの歌声(詩という、翼について綴った鳥の詩ではないか?)を、いつまでも聞いてたという、詩として自分の中に残した。

「野道の先で 赤く生るほおずきせがんで 子供がはしゃいでる」→ 赤く生るほおずきという、時期は8~9月ごろ。そんな時期に、子供たちがせがみ、幸せそうに、楽しそうに過ごしている姿。(ほおずきは、平安時代の頃から薬用に利用され、江戸時代には薬用だけでなく子供の玩具として盛んに愛用されたといわれているそうです。)

「いつか知った 優しさの中にも 同じ風景あるなら いいね」→ 詩で知った、翼人の物語の優しさ。そんな優しさの中に、子供たちが幸せそうに楽しそうに過ごしている姿を重ね、同じ風景の幸せや楽しさがあるならいいねという意味かと。

「朝には消えた あの歌声を いつまでも聞いてた 僕らが残した あの足跡を いつまでも追ってた」→ 詩を追い、カラスのそらを通じて、自分たちが残した足跡という、やってきたことに対しての内容を追っていた。

「朝には消えた あの歌声を いつまでも いつまでも 僕らが残した あの足跡を どこまでも追ってた」→ 引き続き追い、観鈴に最初出会ったころまで、少年と少女が観鈴と往人さんに手を振る最初の日まで、過去を追いかけた。それは、少女に確かめてもらうための、内容。

「そう終わりは別れと あるものだから すべて置いてゆく 朝には日差しのなか  新しい 歌、口ずさんでる」→ 翼人の物語との別れ。空を飛べる存在と、人の差。それは共存ではなく、願いとして、物語を置いてゆきました。物語が終わり、夏が終わり、空が続く中、朝には、翼に纏わる詩(鳥の詩?)ではなく、これからの人として生きていくことの、歌を口ずさみ、始まりに期待していました。こうして、別れていくことを、歌にしたのだと思いました。

 

また、鳥の詩の歌詞ですが、自分はこう感じました。

「消える飛行機雲 僕たちは見送った」→ 「消える飛行機雲」は、翼人のたましいを継承してきた少女、「僕たち」は何年も、翼人のたましいを継承してきた少女の隣にいた、往人さんの母親等、柳也の家系、法術の使い手。「少女たちを何年も、見送ったこと。」

「眩しくて逃げた いつだって弱くて」→ 「眩しくて逃げた」は、翼人の記憶を追いかけ、空を飛ぶ夢を見る少女、その少女を見て何もできない法術使い。「いつだって弱くて」は、何もできない自分を悔やむ言葉。「少女と一緒に居られなかった、法術の使い手。」

「あの日から 変わらず いつまでも変わらずに」→「あの日」は、神奈が空に囚われ、救おうとした柳也と裏葉。次世代に任せることにしたが、一番最初の時を示している。「いつまでも変わらずに」は、救おうとしたことが変わらず、最初の神奈の時と同じで救えなかったこと。「神奈の時から続いた、悲しい出来事を変えれなかったこと。」

「いられなかったこと 悔しくて 指を離す」→「いられなかったこと」は、今回の最初に往人さんみたいに、聞かされていた母親の伝言通りに事態が進み、一緒にいることが少女を苦しませてしまう、そのためには一度離れると決意したこと。「悔しくて 指を離す」は、本当は少女を救いたかった願いだが、離れるしかない、自分も次の世代に任せ、力を人形に蓄えるという無念から、指を離すという言葉で表現。「少女を一人きりにして、無念だが離れた。」(人形に力を蓄えるために、往人さんの母親が人形を使って人を笑わせてきたのは、その笑いという幸せな力が、人形に蓄えられることで呪いの解放に繋がる、そういった考えもあるかもしれません。)

冒頭部分に関しては、ゲームのオープニングで、バス停がモノクロ写真→色が付き、現代の写真へと変わっていたので、時代を何年も繰り返してきた、そんなイメージがありました。

 

続いて1番。

「あの鳥はまだ うまく飛べないけど」→鳥は観鈴のことを示すのだと思います。夢を見る前の観鈴の状態。「観鈴の夢の見始め。」

「いつかは風を切って知る」→観鈴も夢を見ることで、翼人の悲しみを知ると。AIRにおける風は”時間”の考え方もありそうなため、時間が経つとという意味もあるのかと。「夢の先にある翼人の出来事を知る。」

「届かない場所が まだ遠くにある」→「届かない場所」は、観鈴が見ている夢の先。その夢を追いかけようとしています。「翼人の夢がどこに行きつくのか。」

「願いだけ秘めて見つめてる」→「願い」は、観鈴の夢を見続けたいという願い。その願いを秘め、夢の中で空から何度も雲を見ているのだと思います。「観鈴の見続けたい気持ち、行動。」

「子供たちは 夏の線路歩く」→「子供たち」は、往人さんと観鈴ではないかなと。晴子さんも二人のことを子供と言っていたので。「夏の線路歩く」は、決められたレールを辿っているのかなと。「往人さんと観鈴が、出会ったことで運命に沿って、夏のレールを辿っている。」

「吹く風に 素足を晒して」→「吹く風」は、風の時間の概念。「素足を晒して」という、時間経過とともに、少しづつ知っていく状況変化を示してるのだと思います。「これから知る、時間の出来事。」

「遠くには 幼かった日々を」→「遠く」は、神奈が生きていた最初の頃を示すのかなと。「幼かった日々」という、神奈が翼人としての役目ではなく、少女だったころの日々。(突然歌詞背景が過去になるのは、観鈴が夢を前の歌詞で追いかけ、この後のサビの歌詞で昔から続くことに対しての希望があったため。)「神奈の少女だった日々。」

「両手には 飛び立つ希望を」→「両手」は神奈を外の世界へと出してくれた、裏葉と柳也のことを示し、「飛び立つ希望」は、その二人を旅をすることの楽しさを表現しているのではないかと考えました。「柳也と裏葉の旅で初めて見る世界。」

「消える飛行機雲 追いかけて追いかけて」→観鈴が、翼人の記憶を辿り、見ている経過を示すのだと思います。

「この丘を越えた あの日から変わらず」→神奈が空に囚われ、柳也が亡くなる直前に思った「この丘の向こうには、何があるんだろう?」という言葉から、「あの日」という神奈を救うため柳也と裏葉が行動し、その行動は「この丘の向こう」にも続いているのだと思われます。「柳也と裏葉のころから変わらない、ずっと先の未来。」

「いつまでも まっすぐに 僕たちはあるように」→「いつまでも まっすぐ」は、柳也と裏葉のころから続いた願い、「僕たち」は、往人さんまで続いた道。「現代まで続いた、翼人を救うための道。」

「海神(わたつみ)のような 強さを守れるよ きっと」→「海神」という、「翼人」から歴史上の文書等で書き換えられた神様。「海神のような強さ」は、海神という伝承は長らく続き、人々の意識に刻まれました。海神の存在で、伝承や、人々への意識から消された「翼人」でしたが、柳也と裏葉が次の世代へと子を成し、その翼人の存在を継承させることで、翼人という伝承はなくならず、またそれは美凪の家に飾られていた「翼人の絵」等、人の意識に少しは残りました。それをこの歌詞で表現したのだと思います。

 

続いて2番。

「あの空を回る 風車の羽根たちは」→「あの空を回る」は、ずっと繰り返し、「風車の羽根たち」は、風(時間)の経過とともに、次の世代(羽根たち)へ続き、同じ場所を風車という言葉で、前の夢を追いかけているのだと思います。「ずっと繰り返されてきた、風によって夢をみた少女たち。」

「いつまでも同じ 夢見る」→同じ夢と、翼人の夢やその先にあるものを見ていました。「翼人の幸せへとたどり着けなかった夢。」

「届かない場所を ずっと見つめてる」→「届かない場所」は、翼人の幸せへとたどりつく場所。「ずっと見つめてる」と、その夢へと進もうと頑張ります。「幸せな場所を目指している。」

「願いを秘めた 鳥の夢を」→この夢のことは神奈の夢ではないかと思います。神奈が家族と、幸せだと感じたい夢。「幸せな場所は、神奈が欲しがった家族との幸せな夢。」

「振り返る 灼けた線路」→観鈴は夢を進み、ふと見返すと、決められたレールには、自分が辿った道(灼けた線路)があったのだと思います。「観鈴が辿った道。」

「覆う 入道雲 形を変えても」→作中で何度か出てきた「入道雲」という言葉。「形を変えても」と、入道雲は広がっていき、観鈴が辿った道(灼けた線路)を覆うとしていました。それは往人さんにとって、空にいる観鈴が見えなくなると同時に、観鈴にとって、忘れてしまうことへの前兆でした。「これから起こる、忘れてしまうことへの悲劇と、観鈴がひとりきりになってしまう。」

「僕らは 覚えていて どうか 季節が 残した昨日を…」→「僕ら」は、そらになってしまった往人さんと、観鈴を示すのではないかなと思います。全ての思い出を忘れ、そらになった往人さんと、これから少しづつ忘れていく観鈴。しかし二人とも、夏という思い出ややりたかったことは、忘れてもそらは観鈴の傍にいたり、観鈴も晴子さんをお母さんと思っていました。そんな夏の出来事を、「季節が残した昨日」と表現し、「覚えていて」と言っているのだと思います。「これから起こる悲劇があっても、夏という季節にあった様々な出来事は、心に残ってほしい。」

「消える飛行機雲 追いかけて追いかけて」→観鈴は体の痛みを感じ、辛くても翼人の記憶を追いかけます。

「早すぎる合図 ふたり笑い出してる いつまでも」→「早すぎる合図」は、観鈴がついに晴子さんの存在さえも忘れてしまったのでしょう。しかし、「ふたり笑い出してる いつまでも」と、観鈴は晴子さんを母親、晴子さんも観鈴に母親と分かってもらい、いつまでも笑い合いながら生活していきます。「観鈴は晴子さんを忘れてしまったが、晴子さんは母親と、心で分かり、観鈴と晴子さんふたりでこれからも笑い合いながら、家族として生きていく。」

「真っ直ぐに 眼差しはあるように 汗が滲んでも 手を離さないよ ずっと」→「真っ直ぐに眼差し」は、晴子さんが観鈴を大切にする思いやり、「汗が滲んでも手を離さない」は、どんなことがこれからあっても、晴子さんは観鈴の手を取って、大切に守り、母親としての幸せを表現したのだと思います。「晴子さんが、観鈴と家族のスタート、そして幸せになっていく決意。」

 

そして最後の歌詞。

「消える飛行機雲 僕たちは見送った 眩しくて逃げた いつだって弱くて」→「消える飛行機雲」は、観鈴のこと。そして「僕たち」は、晴子さんとそら。「眩しくて逃げた いつだって弱くて」は、晴子さんは観鈴の願いを叶えるため、観鈴にとってのゴールから動かず、しかし言葉では観鈴に対して思いをぶつけ、ゴールさせまいと、心の弱さを出していました。きっとその弱さは、晴子さんが観鈴という、自分にとっての初めて見つけた生き甲斐で、その観鈴を失いたくない、あまりにも早すぎる別れから、心に来たのだと思います。「観鈴のラストのゴールシーンで、歩きながら観鈴と晴子さんが話している。」

「あの日から 変わらず いつまでも変わらずに いられなかったこと」→「あの日」は、晴子さんが誕生日プレゼントとして用意していた、観鈴への恐竜のぬいぐるみを神社で見つけ、そのプレゼントを渡し観鈴が生まれてきたことを祝い、家族としてのスタートを切った日。そこから家族としての幸せが、「いつまでも変わらずにいられなかったこと」と表現。「家族としてのスタートから、幸せな日々を続けることができなかった。」

「悔しくて 指を離す」→「悔しくて」は、晴子さんにとって観鈴と家族の幸せをお互いにこれからも味わえなかったこと。晴子さんにとって、観鈴のやりたいことをやらせてあげたい気持ちと、母親として、子を大切に思う気持ちが混ざりあい、悔しいという言葉になっているのではないかと。「指を離す」という、観鈴との別れ、観鈴の背中を押すように指を離す、観鈴がいなくなってしまったことへの指を離す、その両方で捉えれるような表現でした。「晴子さんが、観鈴の幸せへと進んでほしい気持ち。」

 

全体でまとめると、最初は何年も繰り返してきた悲しい出来事。続いて、往人さんが観鈴と出会い、進み始めた夢、そして夢の内容(神奈視点や、柳也と裏葉の翼人や神奈への思いを含める。)を知る。2番は、夢を見ることで、分かってきたことや、観鈴にも起きた呪い。その呪いの中でも懸命にがんばった観鈴と、観鈴を大事にしてくれた晴子さん。そして最後は観鈴は幸せな場所へと進むが、晴子さんにとって観鈴を大切にする心境と行動が表現されていました。シナリオ通りに、歌詞が進んでいるのではないかと思います。

鳥の詩」ですが、最後が晴子さんの視点で考えたのは、人の視点から見た、「鳥の詩」だからではないかと思います。まず、曲名に「詩」という字が入っており、この詩という意味は、朝廷により翼人の存在を消され、伝承として海神が残ったことに対して、翼人がいたという存在を表現したかったからではないかと思います。

詩として残すことで、翼人にまつわることで何があったのか、どういった存在で人との関係があったのかを意味したのかなと。翼人に何があったのかは、鳥の詩の歌詞から、何度も繰り返し、どんな思いでこの翼人がいた存在を残そうとしたのか、最後の子は、どんな経緯があり、最後にはどう旅立ったのかが分かるようになっていました。そしてどういった存在で人との関係があったのかに関しては、1番の歌詞で「両手には飛び立つ希望を」と、空に飛びに行くことができる、両手を使い、遮るものは何もなく、希望に満ちている、人との関係は、2番の歌詞と最後の歌詞で、「汗が滲んでも、手を離さないよずっと」、「いつまでも変わらずにいられなかったこと、悔しくて指を離す」と、手をずっと繋げて一緒にいれる存在ではなく、飛び立ち翼人に人は想いを馳せるものとなっていました。このシーンに関しては晴子さんがそらに、最後伝えた言葉と似ている考えではないかなと思っています。

そういった意味があり、「鳥の詩」として、翼人が人々の記憶に残されるように、空に想いを馳せるように、作られた曲ではないかと思い、歌詞も人(晴子さん)の視点で終わっているのかなと。「消える飛行機雲 追いかけて追いかけて」も、人にとっては、翼があり飛行機雲を追える翼人の速度には追い付けない、そんなイメージもありますし。夏の線路や、素足、風車等、なんだか夏をイメージするような親しみやすい言葉から、詩として共感しやすい、そういう感じにも捉えれますね。

また、鳥の詩が、シナリオ通りの歌詞の理由はもう一つあり、ゲーム版のオープニングで、鳥の詩は最初、モノクロの画面サイズが小さめのバス停から始まり、最後には浜辺がモノクロになり画面が小さくなります。これは、モノクロの写真の時代から続いた表現と、最後は「鳥の詩」も終わり、人の意識から消えていく、時代が経つという表現をしたからではないかと思ったからです。鳥の詩も、変化していく時代の一部の歴史でしかなく、そんな中でも、続いてきたことと、最後の別れを記載した詩であるからこそ、シナリオ通りの歌詞なのかなと思いました。

 

AIR全体の感想として、歴史的でもあり、芸術的な表現も多く、そこから発生する様々な人の想いが追求すれば追及するほど深く、BGM合わせて夏の雰囲気と、海と空に対してとても思い出深くなる、そんな芸術的な作品だったなと感じました。歴史において、あったかもしれない史実を感じ取りながら、蓋をされた世界でどう物語を残すか、その物語をどう感じさせるように終わらせるか、それをどれだけ分かりやすく残すかといった考え方を個人的には思い、始まりでもあり残っていくであろう「鳥の詩」や、夏の幸せを歌詞として残し、Airだけではなく夏そのものに対して幸せを感じることができるような歌詞として「青空」、そして悲しみと未来への夢を混合した「Farewell song」という、残りやすく受け入れやすい詩からとてもエモさを感じるゲームでした(*´ω`)

ストーリーは中々に苦しい内容も多く、何度も号泣し精神的にボロボロになる作品ではありましたが、そんな中でも、本当に深く考えることで、新しい幸せやそれをベースとして受け入れることができるようになる、そんな強さも学ばしてくれる作品だと思います。往人さんの心情も方向性によっては色々な見方もでき、自分ではまだまだ理解できないほどの奥深さや言葉の難しさを感じる内容でもあり、だからこそ新しい発見やプレイする年代によって考え方も変わる、美しくも素晴らしさもある内容のゲームだと思います…(^^)

以上が、AIR感想でした。拙い文章、方向性の違う考えや考察も多かったと思いますが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。